次はプロの舞台で、しのぎを削る! 今日22日に開催されるドラフト会議(東京・グランドプリンスホテル高輪、午後5時~)で、仙台6大学リーグの宮城出身右腕トリオが指名を待つ。仙台大の熊原健人(柴田)、東北福祉大の佐藤優(古川学園)、東北学院大の本田圭佑(東北学院=いずれも22)の3投手で、それぞれチームでは背番号18を背負う不動のエース。仙台6大学で互いに競い合い、磨いてきたその腕を、今度は日本最高のマウンドで輝かせる。

◆ワクワク/仙台大・熊原健人

 熊原が創部47年目の仙台大から、初めてのプロ選手になる。運命の日を目前に控えたエースは「自分が1番目になるんだという気持ちが強い。運やタイミングや縁もある特別なことなので、(プロ1号に)なりたい」と、今の素直な気持ちを語った。

 チーム初の全日本大学選手権出場に導いた昨春から一躍注目を浴びた。今春も2年連続で神宮出場。即戦力候補として、複数球団からの上位指名は確実な状況だ。最速152キロの重みのある直球が最大の魅力。大学日本代表として国際試合も経験し、精神面でも成長した。

 今秋リーグは、筋力トレーニングで背筋を痛めて出遅れたが、焦ることなく体重7キロ増(85キロ)の肉体改造にも成功。球威も平均球速もアップさせ、さらに進化した姿をアピールした。柴田高時代は全国的に無名だったが、大学で花を咲かせた巨人沢村を目標にしてきた。「不安もあるが、わくわくする不思議な気持ち」と吉報を待ちわびている。

◆4年間で成長できた/東北福祉大・佐藤優

 過去プロ44選手を輩出している名門・東北福祉大の佐藤が、投手では同大25人目となるプロ入りを切望している。「少し不安な部分もありますが、今持っている力は(大学で)全部出し切れました」と4年間を振り返る。

 187センチの長身から投げ下ろす最速151キロの速球と、120キロ前後のキレのある高速スライダーが最大の武器だ。今月10日、仙台6大学リーグを視察に訪れた楽天星野副会長に「下半身を鍛えれば面白い」と言わしめた。

 今ドラフトの3右腕の中では最も早く、1年春にリーグデビュー。2年春には全国マウンドも経験し、今春からは主戦を任された。リーグ通算11勝で防御率1・29(計97回1/3)。個人タイトルには縁がなかったが「4年間で成長できた」と充実感を感じている。しなやかな投球フォームに将来性を感じる22歳は「高校時代は遠い存在だった」というプロからの指名を、静かに待っている。

◆上の世界を見てみたい/東北学院大・本田圭佑

 本田は、東北学院大では06年大学生・社会人ドラフトで希望枠入団の先輩、西武岸以来のプロ指名を待つ。中学までは内野手で、東北学院高から投手に転向。当初は、サッカー日本代表MF本田と同姓同名の話題が先行しがちだったが、大学入学後に急成長した。

 仙台6大学では今秋の宮城教育大戦で6回参考ノーヒットノーランを記録するなど、現役最多の通算15勝を挙げた。「やれることをやってきた結果。後悔しないように準備した結果なので満足しています」という。最速147キロの、伸びのある速球と多彩な変化球を操る。全国経験はないが、リーグ184回2/3で計181奪三振、防御率1・90。「上の世界を見てみたい。どこまでやれるか挑戦したい。指名されたらどこでも、何巡目でもいきたい」。本田にとってプロ入りはゴールではない。

 ◆ドラフト展望 富士大・多和田、仙台大・熊原の本格派右腕2人に注目が集まる。熊原は巨人、ロッテなど数球団が最終的な1位候補に残しており、競合になる可能性がある。多和田は西武が1位指名を公言。1本釣りか競合かが焦点となる。西武は東北学院大・本田もリストアップしている。八戸学院大・尾山、東北福祉大・佐藤の長身右腕2人は下位で指名か。今年は、東北の社会人選手の指名はないもよう。岩手・花巻東、東海大を経て、現日立製作所の猿川拓朗投手(23)が候補にあがっている。その他、ルートインBCリーグ福島ホープスの岡下大将内野手(24)も下位か育成での指名がありそうだ。