昨年限りでソフトバンクを退団した松中信彦内野手(42)が1日、福岡市内で会見し、現役引退を正式に発表した。「信彦コール」について聞かれると、思わず言葉を詰まらせた。「本当にありがたかった。最初、レギュラーを取った時は松中と言われていたのが、そのうち信彦に変わって、最後までずっと信彦と言っていただいた。これだけは本当に僕の宝物というか…」。こらえていた涙が一気にあふれ出した。

 誇りに思う記録は3年連続120打点だという。「何が勝利に直結するか。やっぱり打点だった。4番の仕事を果たせた達成感があった」と、プロ野球記録に胸を張った。

 今後は指導者として、3冠王を取れる選手を育てることが目標。1度は監督もしてみたいという。「木のバットに苦労しながらもここまで来られたのは会長のおかげ。王会長が僕を育てて3冠王を取らせていただいたので、僕も3冠王を取れるくらいの選手を育てたいと思う」と、3冠王のバトンを次世代につなぐ決意を明かした。恩義を感じるホークスに戻りたい希望もあり「育てていただいたので、チャンスがあれば」と思いを語った。

 会見後、会場に駆けつけた後輩の本多、福田から花束を受け取ると、再び涙を浮かべた。指導者としてグラウンドに帰ってくる日を夢見て、第2の野球人生を歩みだす。【福岡吉央】