怪物を追いかける。西武からドラフト1位で指名された作新学院・今井達也投手(18)が1日、栃木・宇都宮市の同校で指名あいさつを受けた。将来のエース候補として期待される右腕は、同校OBの江川卓氏のように球界を代表する投手になることを宣言。1年目からの飛躍を力強く誓った。

 今井は偉大な先輩の背中を見据えた。作新学院からの1位指名は1973年の江川卓以来、43年ぶり。「江川さんには、まだまだ及ばないですし、雲の上の存在。少しでも近づけるように頑張りたいと思います」と表情を引き締めた。

 怪物・江川の現役引退は生まれる10年以上前。それでも、「真っすぐとカーブの2種類で抑えてきたという話は知っています」とうなずいた。自身の軸も最速152キロの直球。しなりのある腕の振りからスピンの利いた球を投げ込むスタイルは同氏とは異なるが「ゆくゆくは球界を代表する投手になりたい」と力強く誓った。

 水泳界の怪物からも刺激を受けていた。リオ五輪競泳男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した萩野公介も同校OB。前日10月31日に栃木・小山市で行われた凱旋(がいせん)パレードに駆けつけ、「生で見ました。世界で活躍する選手。自分も負けないようにやっていきたい」と決意を新たにした。

 大目標を掲げながら、しっかりと足元を見つめている。「直球も変化球も、全てにおいてレベルアップしないといけない」。技術面だけでなく、プロで戦う基盤となる体力を養うため、体重増にも取り組む。現在の68キロから70キロ以上を目指し、授業の休み時間に、おにぎりやプロテインを摂取。「1年間戦える体作りをしっかりしたい。1年目から開幕ローテーションに入りたいと思っています」と力を込めた。

 その能力を高く評価する渡辺SDは、「単にライオンズのエースの枠に収まらないくらいの素質がある。タイプは違うけど、江川さんのような存在になってもらいたいね」と期待を込めた。西武の柱から日本のエースへ-。今井の未来予想図は大きく広がる。【佐竹実】