阪神金本知憲監督(48)が新キャプテンに就任した福留孝介外野手(39)に「闘将イズム」を期待した。11月30日に兵庫県三木市内のゴルフ場で取材に応じ、主将交代に初言及。「ベンチの雰囲気をつくってほしい」とチーム最年長のベテランにまとめ役を託した。

 金本監督が主将交代の理由に初めて触れた。5年間キャプテンを務めた鳥谷に代わり、チーム最年長の福留を次期主将に指名。すでに本人とも面談済みで快諾を得ている。いかなるリーダー像を求めるのか。

 「トリも5年やっているから、そろそろ肩の荷を下ろして、自分のことに専念させてあげようかな、と。最年長で実績のある孝介に頼むのが、一番」

 今オフにはFA補強で糸井を獲得。1軍のチャンスを与えたことで、若手の芽も出てきた。05年以来となるリーグ制覇に向け、主将の役割は重要。来年で40歳を迎える福留が適任という判断だった。求めるのは、チームの精神的支柱となる存在感だ。

 「プライベートの時間の過ごし方や、鍛え方。体のメンテナンスや技術的なことも。ベンチの雰囲気もつくってほしい。負けている時こそ、元気を出そう、勝っている時はさらに勢いに乗ってとか」

 指揮官は福留に「闘将イズム」を期待した。日米2000安打を記録するなど多彩な実績だけではない。福留の野球に対する熱い思いを買っている。今年8月には、ベースカバーに遅れた藤浪に対し、ベンチで鬼の形相で怒った。チームメートを引き締め、時には鼓舞する。「頼りにしてまっせ、ということや」。生え抜き以外の選手が主将に就任するには球団史上初。「挑む Tigers Change」をスローガンに掲げて臨む17年シーズン。チーム最年長に、大きな役割を託す。【田口真一郎】

 ◆主な阪神の主将 プロ野球創成期にコーチ職はほとんどおらず、監督の補佐役として主将は重要だった。阪神球団創立の1936年(昭11)初代主将となった松木謙治郎は、37年春に首位打者と本塁打王の2冠。39年は助監督も兼ねた。元祖ミスタータイガース藤村富美男は47年から務め、豪快なスイングで終戦直後のファンに明るさを与えた。後の日本一監督吉田義男は60年に主将を任され、リーダーシップを発揮した。近年では岡田監督が06年、赤星憲広を指名。12年には投手で藤川(オフにメジャー移籍)、野手で鳥谷が就任。今季はベテラン福原が投手キャプテンを務めていた。