苦節10年、ついに花開いた。ロッテ細谷圭内野手(28)が15日、ZOZOマリンで契約更改交渉を行い、930万円から3倍超の年俸3000万円でサインした。11年目の今季、自己最多116試合、102安打を記録。郷里・群馬の英雄、氷室京介を愛してやまない男は、プレー以外でもファンを盛り上げた。

 更改後の会見は、ライブ会場のように熱を帯びた。結果を問われた細谷は「すごく良い評価。納得しています。3000万、ジャストです!」と力強く答えた。熱狂は、会見場を飛び出した。グラウンドに立つと、3本の指で来季年俸を誇示した。最初は右手だったが、すぐに「右はマイクを持ってる」と、氷室京介をイメージ!? マイクの代わりにメガホンを持ち、左手で「3」と突き上げた。

 ついに、花開いた。自己最多116試合。重ねた102安打は、過去10年の通算56安打を倍近く上回った。昨季は2軍で打点王。ポテンシャルは周囲も認めていたが、1軍では、なかなか結果が出なかった。それでも「無駄な10年とは思わない。それがあったからこその11年目だと思う」と諦めることなく、外野守備にも取り組んだ。清水直行氏や渡辺俊介氏らOBからは「よく腐らずにやった」と、ねぎらわれたという。

 世の中、うまくいかないことだらけ。そんな時も、ひたむきだった。困難の中にいる人たちへ、メッセージを請われ、即答した。

 細谷 僕より若い人たちに言っている。いっぱい失敗して欲しいと。若いうちに守りに入ると、年を重ねてから失敗できなくなる。ミスを恐れるな、とはそういうことだと思います。

 今季発売された細谷タオルは、たちまち完売&再販。勝利の後、スタンドに叫ぶ「サンキュー、幕張!!」はマリン名物になった。心境を「ム。無我夢中の」と表現した。“無”心に練習を続け“夢”中にプレーした。細谷圭はドリーミングし続ける。【古川真弥】(金額は推定)