オリックスドラフト2位の黒木優太投手(22=立正大)が、“海釣りカーブ”で新人王レースに割って入る。新入団会見を翌日に控えた17日、施設見学で神戸市西区の青濤館を訪問。昨年、趣味の海釣りをヒントに習得したカーブを武器に、プロでも1年目から大活躍する意気込みだ。

 一芸ならぬ趣味に助けられ、黒木は新人王への道を切り開く。立正大時代の黒木といえば、153キロの快速球に縦横のスライダー。さらに緩急差をつけるカーブを今春の東都2部リーグ戦開幕前に身につけた。投球の幅を広げ、自身をドラフト上位候補に押し上げた新球習得。思いついたのは、なんと3年秋のリーグ戦を終え、横浜港で釣りざおを握っていたときだった。

 「釣りをしているときに野球のアイデアが浮かぶことがあるんです」。シーズンオフのシーバス(スズキ)釣りが、気分転換。その日はリールを巻いていて、あることに気付いた。「速く巻くばかりじゃなく、ゆっくり巻いても、魚は釣れる。釣りでも緩急は大事。それなら野球でも緩急は大事だよな」と頭を巡らせ、見つけた答えが新球カーブだった。大学最後の春秋に向けて練習し、「プロになれたのはそのおかげかも」と“釣果”に感謝。プロでもカーブを武器に1年目から大活躍する意気込みだ。

 この日の施設訪問に備え、前日16日に大阪入り。友人に市内の西九条や野田を案内され、夕食は串カツの店へ。「メニューの紅しょうがを見て、訳がわからなくて。刻んだ物しか知らなかったんで。でも丸ごと揚げてあるのを見てびっくりしました」。ソースの2度漬け禁止の洗礼も受け、ディープな大阪を楽しんだ。

 「(関西でも)いい釣り場が見つかれば。釣りざおは宅配便で運んだ方がいいですよね。新幹線に乗せるのはダメですかね」と頭を悩ませる。右手に釣りざおのえびす様…。みたいな姿で、年明け新神戸駅に降り立つルーキーが見られるかもしれない。【堀まどか】

 ◆黒木優太(くろき・ゆうた)1994年(平6)8月16日、横浜市生まれ。小2で野球を始め、橘学苑では1年秋から遊撃手でベンチ入り。2年秋から投手に転向。3年夏は神奈川大会3回戦で東海大相模に敗れた。立正大では1年秋から東都2部リーグ戦に登板し、2年春は4勝で2部優勝に貢献。大学通算16勝を挙げた。50メートル走5秒9。遠投120メートル。179センチ、78キロ、右投げ左打ち。

<野球界の釣り好き>

 ◆故川上哲治氏 日刊スポーツ評論家時代に「川上哲治のドンと釣ってみよう!」を長期連載。タイ中心の五目釣りで見事な腕前を披露した。

 ◆佐々木主浩氏 日刊スポーツで「大魔神のファイト一釣!」を連載し「名人」を踏襲。大物をたびたび釣り上げている。

 ◆城島健司氏 現役時代から有名だったが、引退後は「城島健司のJ的(城島的)な釣りテレビ」の番組を持つ。

 ◆阪神矢野燿大コーチ 関本氏、福原コーチとのバス釣りは有名で、40歳で小型船舶2級免許を取得。

 ◆巨人脇谷亮太 西武時代には「釣り部」を結成。愛車に釣りざおを備え、79センチのスズキを釣り上げた実績を持つ。