<ソフトバンク10-5横浜>◇10日◇福岡ヤフードーム

 救世主が現れた!

 ソフトバンク山田大樹投手(21)が、偉業級の投球を見せた。横浜戦(福岡ヤフードーム)にプロ初登板初先発。6回4安打3失点で、勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りた。降板後に味方が同点に追いつかれ、育成出身選手の「パ・リーグ1番星」はお預け。育成出身投手として史上初の初登板初勝利の快挙も逃したが、交流戦V逸のピンチを救う大仕事を果たした。チームは先発陣のコマ不足の中に現れたニューヒーローの活躍で、貯金を今季最多の9とした。

 期待膨らむデビュー戦だった。史上初の快挙こそ逃したが、ニューヒーローが誕生した。「茨城から来ました、山田大樹です!」。試合後のお立ち台。188センチの巨体から声を振り絞り、山田が叫んだ。「次は絶対勝ちますので覚えてください!」。十分すぎるインパクトをファンに与えた。

 緊張していた。育成枠入団から紆余(うよ)曲折を経てたどり着いた4年目でのプロ初登板。「力を込めすぎました」と話す初回。1死から3連続四死球で満塁のピンチを招くと、5番スレッジにも死球で痛恨の押し出し。さらに金城に適時二塁打を浴び、あっという間に3点を失った。「ヤバイと思った」。だが、へこたれなかった。

 味方が直後に5点を奪い逆転。「点を取られても、また取り返してもらえる」と開き直った。2回以降を無失点に抑え、6回4安打3失点。9日、巨人黄志龍(ファン・ツーロン)が逃した、史上初の育成出身の初先発初勝利も見えていたが、2番手摂津が同点を許して幻になった。それでも、山田の80球に大きな価値があった。

 「恩返し」の気持ちが原動力だ。07年に育成選手として入団。2年目に左ひじの手術を受けた。「手術の時よりも、手術明けに結果が出ない時が一番つらかった…」。昨秋には3年間の育成契約が切れ、自由契約となった。テスト参加していた秋季キャンプ。視察した王会長が直接指導し、王会長が早実時代に得意としていたカーブも伝授された。再契約から支配下登録。どん底からはい上がった。

 この日も“王カーブ”がピンチを救った。5回2死二、三塁。4番村田の2球目に118キロの変化球で空振りを奪い、3球目の直球で内野ゴロに仕留めた。「カーブを投げられれば、抑えられることがわかった」。王会長も「よかったね。初回はどうなるかと思ったけど」と、自分のことのように喜んだ。

 故障者などで先発陣の台所事情が苦しいチームにとっても朗報だ。現在計算の立つ先発投手は杉内、和田、小椋の3人。来週から再開されるリーグ戦では、先発の絶対数が足りない。秋山監督は「2回以降は自分のペースで投げられていたし。今後もチャンスをもらえるだろうし、それを最初からしてくれれば」と今後のローテ入りを明言。貯金を今季最多の9とした山田の好投が、チームに勢いをつけた。【倉成孝史】

 [2010年6月11日11時32分

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