<パCSファイナルステージ:ソフトバンク3-1ロッテ>◇第2戦◇15日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク和田毅投手(29)が魂の完投勝利だ。ロッテ打線をクライマックスシリーズ(CS)最少の2安打に封じ、9回134球を1失点で投げ切った。プレーオフ、CSでの勝利は自身初で、CS記録にあと1と迫る13奪三振もマーク。アドバンテージの1勝を含め、対戦成績を2勝1敗とした。16日も勝てば、7年ぶり日本シリーズ出場に王手がかかる。

 両腕を「W」の字に曲げ、力任せに振り下ろした。豪快なガッツポーズだ。9回134球を投げ抜いた和田が、全身で歓喜を表した。2安打1失点の完投勝利。「昨日、成瀬君に完投されて、すごく悔しい負け方だったので、完投し返してやろうという気持ちだった」。狙い通りの「完投返し」を決め、端正な顔は緩みっぱなしになった。

 試練の船出だった。1回1死から、今季2本塁打のロッテ清田に先制ソロを浴びた。伏兵に浴びたまさかの1発。「やってはいけない先制点を与えてしまった」。後続にもファウルで粘られ、1回だけで39球も要した。

 最多勝左腕の真骨頂は2回からだ。1回を投げ終え「ひじが(前方に)入りすぎていた」と気付いた。大一番で前がかりになっていた心と体を切り替えた。我慢強く低めを突くスタイルを取り戻した。2回1死から金泰均に左前打を許したのを最後に、以後の23人を完全に封じ込め、13奪三振をマークした。

 8、9回の登板前に高山投手コーチから続投の可否を確認されても、「大丈夫です」と平然と言った。最終回のマウンドへ向かう際、真っ赤に染まった観客席からの拍手に包まれ「鳥肌が立った」。CS史上最少の2安打に抑え、04年のプレーオフ創設以降、球団初となる完投勝利を挙げた。

 試合前の食堂で、前日に敗戦投手となった杉内が隣のテーブルにいた。ライバルとして競うように白星を積み重ねたダブルエースが、肩を寄せ合って密談。杉内は「(内容は)言えるわけない」と口を閉ざしたが、ロッテ対策も無念も引き継いだ和田は「スギ(杉内)の借りを返す気持ちだった」と胸の内を明かした。

 今後は日本シリーズ先発に向けて準備に入る。「投げる投げないにかかわらず、自分のベストを尽くしたい」と表情を引き締めた。再び出番がくると信じて。【太田尚樹】

 [2010年10月16日8時15分

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