<セCSファーストステージ:阪神1-3巨人>◇第1戦◇16日◇甲子園

 能見キラーが本領を発揮した。巨人の小笠原道大内野手(36)が、3回1死二塁から左前への勝ち越し適時打を含む3安打2打点で打線をけん引した。チームは阪神の左腕能見篤史投手(31)に昨季から7連敗中だったが、今季12打数4安打(打率3割3分3厘)1本塁打と得意にしていた小笠原が天敵を粉砕した。

 数々の修羅場を踏んできた猛者は、短期決戦の鉄則を知り尽くしていた。「気が付いたら、すぐ終わってしまうことがよくある。最初から集中していこうと思った」。敵地で受ける勝利インタビュー。阪神ファンを前にしても、小笠原の表情はキリッと引き締まったままだった。

 言葉通り、集中力はマックスだった。1回は、ボール球を見極め四球。1-1で迎えた3回1死二塁では、真ん中の直球を逃さなかった。逆方向の左前に打ち返す勝ち越し打。そして、5回。1死三塁で前打者の亀井が凡退した。追加点を奪えず好機がしぼみかけて迎えた第3打席、カウント0-1から高めに浮いたフォークを右前に運んだ。能見から2本目となる適時打に、原監督も「3点目が効いた。2アウトを取られた後だから」と絶賛。8回は中前打と、全打席で出塁した。

 天敵攻略のすべを実行した。試合前、篠塚打撃コーチは「能見は甘い球が来ないと、なかなか打てない。甘い球を打つ確率を上げること。1、2点勝負になるかも」と話していた。だが、ミーティングで、あらためて能見対策が指示されることはなかった。各自、「好球必打」を分かっていたからだ。同コーチの予言通りのロースコア。気の抜けない勝負をモノにした攻撃の中心に、小笠原がいた。

 巨人移籍後、CSは通算打率4割5厘。大舞台の勝負強さを問われても「記憶にないな」と素っ気ない。ただ、心身とも初戦に合わせていた。CS前の練習期間では、特守を志願し体のキレを保った。精神の調整も忘れなかった。この日、約1カ月ぶりに練習を見学した知り合いには「いつもの近寄りがたい雰囲気がない」と驚かれた。必要以上の緊張を避け、試合開始と同時に集中した。

 心に誓ったことがある。甲子園に乗り込む2日前の13日、故大沢啓二氏の通夜に参列した。直接指導を受けたことはなかったが、日本ハムの大先輩。同じ境遇の実松にも自ら声を掛け、一緒に東京・港区の増上寺に駆けつけた。「大沢さんを引き継いで、活力ある野球界にしていきたい」。霊前の言葉に偽りはない。シーズン同様、全力を出し切り初戦を奪った。「明日も100%、集中していきたい」と、一気にファーストステージ突破を図る。【古川真弥】

 [2010年10月17日9時11分

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