アニキもビックリ!

 阪神金本知憲外野手(42)が、弟分の変ぼうぶりに目を丸くした?

 10日、自主練習のために訪れた甲子園クラブハウスで、ともに汗を流していた新井貴浩内野手(33)の今オフに対する取り組み姿勢に仰天?

 今季、自身の代役として4番を務めた男の自覚ある行動に、来季活躍の太鼓判を押した?

 弟分の練習姿勢に心を打たれたのか?

 あるいは、いつもの「新井いじり」がさく裂しただけなのか?

 真相は定かではないが、自主練習を終えてマイカーに乗り込んだ金本は、いつになく冗舌に語り出した。

 金本

 この時期に新井さんが連日、真剣に練習している姿をプロに入って初めて見たよ。報道陣を集めての(見せる)練習でないのは初めて見た。今年、チャンスで打てなかったのがよっぽど悔しかったんだろうな。体力面も大事だけど、精神面の鍛錬をした方がいいんじゃないか。

 いたずらっぽい笑みを浮かべたまま、速射砲のように飛び出した新井への思い。広島時代から、オフは同じ施設に通ってトレーニングに励む間柄。どのような行程で体作りを進めるかを、金本は誰よりも把握している。だからこそ、新井が甲子園クラブハウスを訪れて、連日、体力強化に励んでいることに驚きを隠せなかった。

 普段から「今日も新井さんはトレーニングではなく、サウナと水風呂に入りに(甲子園クラブハウスへ)来てるだけや」と金本の“口撃”に耐えてきた新井。この日も「僕もう(プロ)13年目ですよ。ちゃんと自覚を持ってやっています」と意に介さずといった態度を示したが、金本のことを心から慕うだけに「ちゃかされているのか、褒められているのか分からない。そんなこと言われると、逆に恥ずかしい」と何故か前向きにとらえてしまった。

 ただ、ほぼ無休で練習に取り組んでいることは事実で、新井はこの日、30分間走と下半身を中心としたウエートトレーニングで約3時間、汗を流した。今オフは例年のウエート中心からランニング中心の体力強化へとシフトチェンジ。打率、打点ともに自己最高を記録した今季からの、さらなる成長に自ら変化を付けようとしている。それはいくら“口撃”されようと、目標とする金本に1歩でも近づくための、新井なりの努力かもしれない。【石田泰隆】

 [2010年11月11日10時19分

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