来季復活を期すソフトバンク新垣渚投手(30)が13日、巨人との練習試合(サンマリン)で2回完全の快投を演じた。試行錯誤していた投球フォームを、04年から3年連続して2ケタ勝利をマークした当時のスリークオーターに戻し、スライダーのキレが復活。直球の最速も147キロをマークし、4三振を奪った。右肩関節炎などで今季1軍登板ゼロに終わったが、来季開幕ローテ入りへ手ごたえをつかんだ。

 新垣が来季開幕ローテ入りに大きく歩を進めた。わずか2イニングの登板で、見守った首脳陣を納得させた。初回からとばした。得意のフォークで2者連続空振り三振を奪い、3番坂本はフルカウントから外角スライダーで遊ゴロに仕留めた。

 2回も亀井を内角ストレートで左飛に打ち取り、長野を外角ストレートで見逃し三振。6番大田を早々と追い込み、最後はキレのある外へのスライダーで空振り三振にした。最速147キロをマークする圧巻の内容。ベンチへの足取りも軽かった。

 「ボール球で空振りを取ることは最近なかった。心に余裕ができた。いろいろ試してきて良かった」

 復活を印象づけた。150キロ超の直球を武器に04年から3年連続で2ケタ勝利をマークした。だが、今季は右肩関節炎などに苦しみ、プロ8年目で初の1軍登板ゼロ。しかも、今季は腰の状態も悪く、ウエスタン・リーグでも結果を出せなかった。再起を期すため初めてサイドスローへの転向を考えるほど追い込まれ、悩んだ。だが、秋季キャンプで見いだした答えは「原点回帰」。全盛期のフォームに戻した。

 「今のはいい時のスリークオーター。位置を戻しただけ。下げれば肩に負担が来にくいが、いい球を投げる感じからするとトップの位置は今ぐらい」

 怖さも振り払った。武田臨時投手コーチから「腕を振れば、ボール球でも打者は振る」とアドバイスを受け、変化球を投げるときに「置きにいく」悪い癖を改めた。大田を空振り三振に仕留めたのはボール球。腕が振れている証拠だった。武田臨時コーチは「腕が振れていて、フォーム、バランスが良かったね。あれぐらい投げられれば自信がついたでしょう」と話した。

 今季チームは76勝してパ・リーグを制したが、そのうち右の先発投手が挙げた勝ち星は11勝。今ドラフトでも即戦力投手の補強はなく、現有戦力の底上げは必須課題だ。豪腕新垣の復活アピールは、チームにとって大きな収穫となった。

 [2010年11月14日11時49分

 紙面から]ソーシャルブックマーク