<オリックス4-5阪神>◇17日◇京セラドーム大阪

 ありがと~金本~。マウンドの榎田大樹投手(24)が、三塁ベンチの真弓明信監督(57)が、そして京セラドーム大阪をジャックした阪神ファンが感謝した。6回2死満塁。万事休すの打球に背走、フェンス激突、倒れ込みながらも執念のキャッチ。勝利をもぎ取ったのは43歳、DH制でも左翼で先発した金本知憲外野手の体を張ったプレーだった。

 すぐ頭上のスタンドから万雷の拍手が降ってきた。ベンチに戻って走る金本はペロリと舌を出した。恥ずかしそうに新井らナインの出迎えを受ける。数センチが明暗を分けた。抜けていれば走者一掃で大逆転される大ピンチ。「奇跡のレシーブ」が命綱になった。

 「よう取ったよ。日ごろからよく練習しているから、ああいう場面で出るんちゃうかな」。

 毎日のように金本にフェンス際へのノックを放つ山脇外野手守備走塁コーチがうれしそうに振り返った。

 6回。2点を返されてリードは1点に縮まった。なお2死満塁。梶本勇の飛球は高々と左翼後方を襲った。前進気味だった金本は急いでバック。最後はフェンスに向かって倒れ込みながら背面キャッチ。ボールはしっかりグラブの中にあった。一瞬凍り付いた虎党の笑顔が爆発した。

 若虎が躍動したゲームで、父子ほども年が違う43歳が大ハッスルした。まずはバットがうなった。3回。上本と新井の適時打が出て、なお2死一、二塁のチャンスで右中間に2点適時二塁打を放った。

 「うれしかったですね」。短いコメントに喜びを込めた。

 スイングが若い。寺原は速球で押してきていた。2ボール1ストライクと追い込まれてから金本はグリップエンドを数センチ空けた。150キロをファウルし、次の148キロを完璧に打ち返した。和田打撃コーチは「やっと力強さが出てきた。いいスイングができている」と評価した。

 棘(きょく)上筋肉断裂の右肩は目に見えて状態を上げている。二塁打のあとは捕手がこぼすのを見て好判断で三塁に走った(暴投)。鳥谷のアクシデントにより、今季初のDH制でも左翼を守った。予定外の事態にも、攻走守でフィールドプレーヤーとしての務めを果たし切った。

 広島ゆかりの4選手が8安打を乱れ打った「広島デー」。“親分”が頑張らないわけにいかない。特にヒーロー上本は同じ広陵高出で広島市のジム「アスリート」で元日からトレーニングをともにするかわいい後輩だ。若手にガソリンを注入された鉄人が力強く加速を始めた。【柏原誠】