<楽天3-2ヤクルト>◇21日◇Kスタ宮城

 和製大砲と言われ続けて7年。楽天大広翔治内野手(28)の4年ぶり安打、プロ初打点がサヨナラ打になった。同点に追いつかれた直後の9回1死一塁。押本のスライダーを左翼線に運んだ。一塁走者・鉄平の本塁生還を確認すると、両手を何度も天に突き上げた。「ずっとここに立つのが夢だったので、最高です」。念願のお立ち台で、興奮した声が上ずった。

 新球団が誕生した最初のドラフトで入団した、いわば純粋な1期生メンバー。練習で飛ばす飛距離は群を抜く。歴代監督には、必ず目をかけられる存在だった。今年の春季キャンプでは、田淵ヘッド兼打撃コーチと二人三脚で取り組んだ。ようやく出た結果に、星野監督は「1発いってくれないかと、心の中で思っていた」とたたえた。

 試合で力を発揮できない自分を変えたかった。先月、福岡で食事した居酒屋の水槽で、高級魚クエ(別名アラ)が泳いでいた。「一方通行の人生なんですかね。こいつみたいに前だけを向いていきますよ」。大きな体で真っすぐに一点を見つめる魚を、自分に重ね合わせた決意表明だった。

 「ずっと悔しい思いをしてきたけど、1歩も引かずに攻めていこうと思っていた。今まで支えてくれた奥さん、みんなのおかげです」。落ち込んだ時も温かい言葉と料理で励ましてくれた彩夫人、活躍を信じてサポートしてくれた歴代のチームスタッフ、そしてクエ。苦労人の大きな背中には、感謝の思いがつまっていた。【柴田猛夫】