<西武2-4日本ハム>◇2日◇西武ドーム

 チャンスになればなるほど、集中力が高まっていく。日本ハム中田翔内野手(22)が3試合連続で適時打を放ち、44打点目でついにリーグトップに並んだ。1点差に詰め寄られた直後の8回、リーグ最多となる今季19本目の二塁打を左中間へ運んだ。本塁打こそ9本と少ないが、つなぐ意識が勝負どころでさえ渡る。チーム3連勝の立役者となり、打点王のタイトルも夢ではない。チームは3連勝で首位ソフトバンクに1ゲーム差と迫った。

 またも、中田がやってくれた。3-2と1点差に詰め寄られた直後の8回1死二塁。「最後にチャンスで打ってきますよ」。打撃の師匠でもある福良ヘッドコーチに宣言した。それまで、3打席を終えて無安打。「1点差で苦しい場面だったので、つなぐ意識を持って打席に立った」。この日最後の打席で、宣言通りに西武涌井の142キロ直球を左中間へはじき飛ばしてみせた。

 試合後、中田を呼び止め、冗談交じりに説教を始めた福良コーチは「あいつ、ドヤ顔だったから。でも、きっちり良いところで打つんだから、大したもの」。3試合連続で打点を挙げ、そのすべてが試合の勝敗を占う局面だったのだから、普段は厳しい首脳陣も褒めるしかない。44打点で中島(西武)と並ぶリーグトップに躍り出た。58試合目でとらえたトップの位置に、中田は「偉大な先輩(中島)に並んだというのは、うれしいことです」と気恥ずかしそうだった。

 下半身に負荷のかかる打撃フォームのため、自然とどっしりとした体形になる。ユニホームのズボンが少しきつくなってきたため、自分になじむサイズを模索中。試しに稲葉のものをはいてみたが丈が長すぎて裾が余ってしまったため、小谷野のものを拝借した。練習限定での着用だが「ちょっと大きい」と言いながらも、すっかり気に入った様子で“小谷野モデル”を3着発注した。

 「サイズを測り直そうか?

 って聞いたんですけどね…。大好きな先輩と同じのが良かったんじゃないですか?」と山中サブマネジャーは笑う。身近な手本として、昨季打点王に輝いた小谷野の背中を追ってきた。「僕の中では、4番は小谷野さんだと思っていますから」。本塁打ではなく長打で打点を稼ぐスタイルも、どこか似ている。

 まだ7月とはいえ、このまま好調を維持すれば打点王も夢ではない。梨田監督は「去年までは信用せずに使っていたけど、今年はやれるという確信を持って使っている。これ(打点トップ)ぐらいじゃ、驚かないよ」と、さらなる飛躍を22歳に求めている。尊敬する先輩と同じように“キング”となれるか。【中島宙恵】