<阪神6-4横浜>◇2日◇甲子園

 球場の空気が一瞬止まった。2回2死走者なし。阪神藤井彰人捕手(35)は145キロの直球を思いっきり振り切った。弾丸ライナーが、左翼スタンドへ一直線に伸びていく。どよめきは一瞬にして大歓声と変わっていた。

 阪神移籍後初アーチ。「僕が一番ビックリしたんじゃないですか。目が飛び出そうでした。珍しく、打った瞬間にいったんちゃうかと思って、思わずガッツポーズしたんですけど、入らなかったら恥ずかしいのでやめました」。楽天時代の09年6月27日オリックス戦以来、735日ぶりの本塁打。久々の1発に、自然と頬も緩んでいた。

 小技もさえた。1点差に迫られた4回1死一、三塁。重い1点をスクイズで稼ぎ出した。投球動作と同時にバントの構えに切り替え、勢いを殺した打球を一塁線際に転がした。「(相手に)点を入れられているところだったので、あるかなとは思っていました。いつも、緊張感を持っているので決められました」。

 リード面では耐えた。6回2死二塁で、打席には近鉄、楽天でチームメートだった中村。横浜の入団が決まった際にも、連絡を受けた“仲間”だ。「違和感ではないけど、セで戦っているのが不思議な感じ」。ただ、勝負になれば私情ははさまない。徹底した外角攻めで遊ゴロに仕留めた。

 ヒーローインタビューでは新井貴から「(ベンチで)さすが男前やなって、みんな言ってました」と振られ「顔しか取りえがないですけど、一生懸命頑張っていきます」と答え、観客の爆笑を誘った。6月以降、スタメン出場した試合は11勝4敗。攻守に輝きを放つ“イケメン”が、ドン底からの逆襲を支えている。【鎌田真一郎】