<中日1-0阪神>◇5日◇ナゴヤドーム

 もどかしい完敗の中、奮闘したのが阪神の「男前」藤井彰人捕手(35)だ。鬼門ナゴヤドームをものともせず、3回に左翼へ二塁打、5回に右前打。2戦連続マルチ安打でまた、男を上げた。守っては投手陣を1失点と好リード。今日も元気に打ちまくってや!

 鬼門を知らない男が明日への希望だ。藤井はこの日も止まらなかった。先頭打者で迎えた3回。真ん中高めの直球を鮮やかに振り抜いた。高く上がった打球は左中間フェンス手前で弾む。二塁打で出塁し、バットでチームを盛り上げた。5回にもつなぎの右前打を放ち、2戦連続のマルチ安打を記録した。いずれも得点にはつながらなかったが、相手投手陣に脅威を与えた。

 出場機会を求めて楽天をFAで飛び出した捕手が、今やチームの要になっている。「男前」の代名詞でファンの心をつかみ、藤井グッズの緊急発売が決定した。その勢いは阪神が苦手とするナゴヤドームでも関係なかった。鬼門の印象をこう語る。「広く感じる。ボールが落ちてこない。滞空時間を計ってみてくださいよ」。独特の感じ方があった。この日の二塁打は、相手球場の広さを目いっぱい使って生まれた。

 リードでも空間を十分に利用した。大胆かつ慎重な配球で中日の主軸3人を森野のヒット1本だけに封じ込めた。それでもサヨナラ負けに、表情は曇る。「点を入れられず、リズムを悪くした。(小林宏は)スライダーが抜けてしまった」。打線のゼロ行進が自軍の投手にプレッシャーを与える。打順は8番だが、攻略できなかったことを責任に感じていた。

 今季初の4連勝を逃した。ナゴヤドームで止まったのは、嫌な雰囲気が漂うが、指揮官は不安の声を振り払った。「たまたまか…、本当にいい投球をされたんでね」。相手は2位の中日。投手戦では五分だった。尾を引く1敗ではない、と真弓監督はとらえた。

 今日6日の第2戦は、藤井にとっても、負けられない一戦になる。前回4月17日のナゴヤドーム、中日戦はこの日と同じ0-1のサヨナラ負け(延長10回)。スタメンマスクは藤井だった。今季の鬼門での打撃成績は7打数3安打としたが、勝利がほしい。守りは合格点以上。後はいかに攻撃できるか。藤井の明るさと堅実さで、今日こそ鬼門を突破する。【田口真一郎】