<ソフトバンク6-1ロッテ>◇11日◇福岡ヤフードーム
会見を終えたソフトバンク秋山幸二監督(49)が、右のポケットからウイニングボールを取りだした。「(最後に投げた)森福がくれたんで(亡くなった母に)やってくるよ。勝利が一番の供養になる」。連敗を止めたあかしのボールを手に、熊本で近親者で執り行われた通夜へ足早に向かった。
前夜(10日)の試合直後、母ミスエさんが心不全のため亡くなったのを知った。享年85。最後に会ったのは、関東遠征から深夜の移動便で熊本に向かった翌8日。最期をみとることはできなかった。戦いに影響を与えないよう、周囲にも伏せていた。
「85歳。十分生きたんじゃないか。(チームを離れられず、最期はみとれなかったが)人はそれぞれ考え方が違う。俺はそれでいいと思っている。選手のときから、そう思ってきた」。母からの最高の贈り物は、身長185センチの体格と類いまれな運動能力だった。通算2157安打、437本塁打。さらに、303盗塁。2リーグ制以降は、ただ1人の本塁打王と盗塁王のダブルタイトルホルダー。高校時代、勉強に専念しようと思ったとき、強く反対して野球を続けさせたのが、ミスエさんだった。
「体は遺伝だからな。(贈ってくれたのは)丈夫な体だよ。心配もしたと思うよ。ウチは上2人(長男と長女)が若くして死んだからな。体のことをいつも心配してくれた」。長男は自らが生まれる前に亡くなった。長女は秋山監督の中学時代に、この世を去っている。その2人分の生へのパワーと母の愛情が、人間秋山幸二の土台にある。母への最高の恩返しは、悲願日本一に違いない。【松井周治】



