<阪神5-1広島>◇7日◇甲子園
悪夢の「甲子園デビュー」…。広島は阪神に痛恨の黒星を喫した。広島先発福井優也投手(23)は6回まで1失点と好投したが、7回に暗転。新井に中越え適時二塁打を浴びて決勝の2点を失った。済美では04年春のセンバツで優勝投手に輝いた甲子園のプロ初登板はKO負け。借金4となりAクラスが遠のいていく。
三塁ベンチに腰を下ろすと、うつむいたまま動けない。1秒、3秒、5秒…。福井は口を真一文字に結んで、険しい顔で虚空を見つめた。6回までの力投がすべて吹き飛ぶ7イニング目の乱調だった。難なく2死を奪ってから、自滅した。柴田、鳥谷に連続四球。球は上ずり、制球がままならない。走者を一、二塁に背負い、新井への4球目。シュート回転した直球を強振されると、ライナーで中堅赤松の頭上を越えていく…。
勝ち越しの2点適時二塁打を許し、思わず天を仰いだ。敗戦後、真っ先にロッカーから出てきたルーキーは淡々と振り返る。「もったいないです。2死からだった。丁寧に行ったけど、無駄な四球でした。(7回は)力みすぎて体が開いた。シュートして真ん中に行って、いつもの悪い癖が出た」。7回途中4失点でKOされた。Aクラスを争う阪神に連敗し、自身も今季7敗目を喫した。
勝負の流れは自然と阪神へと傾いていった。福井の急変には伏線があった。同点の7回表無死一塁。ベンチは福井をそのまま打席に立たせた。7回裏の続投を決め、送りバントのサインを出したが失敗。ちぐはぐな攻めは尾を引いた。大野投手チーフコーチは「バントに失敗して次の回に2死から四球…。自分で悪い流れを作っていった。代え時を考える必要がある」と振り返った。
「甲子園の申し子」も勝ち運を引き寄せられなかった。済美2年だった04年春に、エースとしてセンバツで初出場初優勝に導いた。夏も準V。05年夏も出場するなど、3大会12試合を投げて9勝1敗の活躍を見せた。4月の開幕カード。ロッカーから見つめたマンモス甲子園に「お客さんの雰囲気がすごかった。飲み込まれないようにしたい」と話していた。早大でも09年11月、オール早慶戦で甲子園のマウンドに立ったが、真剣勝負は6年ぶり。序盤からフォークを多投して、臆することなく投げたが、肝心の終盤に力尽きた。
借金が4にふくらみ、3位と3ゲーム差に開き、いよいよ正念場を迎えた。福井は前を向いて言う。「四球と、疲れてきてからシュート回転するのを修正しないといけない」。Aクラス入りを目指し、いまこそ逆襲へ、執念を見せるときだ。【酒井俊作】



