<楽天1-9オリックス>◇7日◇Kスタ宮城
星野流「愛のムチ」だ。楽天は本拠地でオリックスとの3位攻防第2ラウンド。先発井坂亮平投手(26)が2回、集中打を浴びこの回だけで5失点と試合を壊した。だが、星野仙一監督(64)は井坂に続投を指示。結局7回まで引っ張った。この上なく大事な試合を棒に振ってまで、長身右腕に与えた試練。投じた120球を無駄にせず、かかる期待に応えるしかない。
半端なボールを見逃してくれるほど、大型連勝中のオリックスは優しくなかった。2点を先制されなお2死一、三塁の場面から坂口、大引、後藤。現在の球界で最も骨太な上位打線は、井坂の勝負球をいとも簡単に、立て続けにタイムリーとした。
投げた本人も「勝負球が甘かった」と分かっていた。3人とも2ストライクと追い込んでいた。カウントを稼ぐ道中のひざ元厳しいスライダー、内角直球。窮屈にファウルを打たせ、理想的に追い込んでいた。坂口こそボールゾーンのフォークボールを巧みに拾ったが、大引、後藤は違った。決めるはずのボールにしては、コース、高さともに入りの初球に比べ不用意だった。「ブルペンでもマウンドに行っても、前回より調子は良かった」と本人は言った。だが結果は何より雄弁だった。星野監督が「セットポジションでボールが高くなる。勉強してほしい」と指摘したとおり課題が露呈した。
大事な大事な3位争いの第2ラウンド。2回、相手9番、由田に犠飛を打たれ0-2となった時点で見切りを付け、継投でつないでいく選択肢も、もちろんあった。ブルペンに慌ただしく電話連絡する首脳陣。だが星野監督は目を細め、ベンチにどしっと腰かけ、井坂の行く末を見ていた。先発投手の責任回数終了。微動だにしない。7回、120球でようやく降板とした。
星野監督
井坂あたりがビシッと一本立ちしないとこのチームは話にならんのだ。いつまでもひょろひょろしていたら、強くならんのだ。
チームの全体像を把握したシーズン途中からたびたび口にするフレーズだ。岩隈、田中という強固な先発の軸がいて、イキのいい左腕塩見が入団した。先発のさらなる充実は不可欠であり、本格派としての資質を認めるからこそ動かなかった。
続投について井坂は「特に何も思わなかった。僕自身、もっと投げたい気持ちがあった」と言った。心意気やよし。アスパラガスと異名を持つ細身の右腕。この悔しさを肥やしとし、Kスタのマウンドにどんと根を張る大黒柱となれ。【宮下敬至】



