<阪神5-1広島>◇7日◇甲子園

 チャララ~。名物時代劇のファンファーレが聞こえてきそうな、トラの「必殺継投」がズバッと決まった。同点の7回1死一塁。スタンリッジから左腕小嶋に代えて東出を料理。赤松はベテラン右腕福原が三振に抑えてチェンジとなり、その裏に大勝ち越しショー。阪神福原忍投手(34)は09年以来の勝利投手と、忍ぶ右腕に福が来た。

 823日ぶりの白星だった。福原は4球で仕事を終えた。7回2死二塁。勝負の分かれ目で、マウンドを託された。ベンチからの信頼とは裏腹に、スタンドは「福原」のコールに“どよめいた”。それは5分後、「1人1殺」継投を締めくくってのベンチ引き揚げで大歓声に変わっていた。

 「1球目を投げたときの感覚で『いけるな』と思った」

 赤松への初球は内角高めの直球。タイミングが遅れたバットが空を切った。自信を持った右腕はオール直球を選択。2球目は149キロ。1ボール2ストライクと追い込み、最後はもう1度内角高めで空振り三振と、力でねじ伏せた。

 同学年の新井が白星を導いてくれた。勝ち投手の権利を手にした瞬間、チームメートから冷やかされたが、13年目の右腕は冷静だった。試合後に手渡されたウイニングボールも、そっと右ポケットにしまった。今季初のお立ち台でも、主砲の活躍を持ち上げた。

 福原

 新井さんが打ったときはチームが勝たないといけない。これからも、期待しています。

 終盤の勝ち越しを演出したのは、阪神では“珍しい”こと細かな継投だった。指揮官も勝負どころと踏み、慎重に、投手をつぎ込んだ。

 真弓監督

 あそこは、1人1殺でもと思っていた。そういう継投をしたいと思っていた。

 スタンリッジが7回途中まで6安打1失点。だが1死一塁として広島は4巡目の上位打線に回る。左の1番東出で、きっぱり左腕の小嶋にスイッチした。送り出したときには、打者1人だけと決めていた。その小嶋が東出のバントを処理し、1球で福原にバトンタッチ。指揮官が思い描いたストーリーを、2人の役者が見事に演じきった。

 福原

 ここからの1勝は大事なので。チームが勝てることが一番です。

 34歳のベテランにエゴはない。もう1度、美酒を浴びるために。「速球王」と呼ばれた男が右腕を振り続ける。【鎌田真一郎】