<阪神4-2横浜>◇21日◇甲子園

 去りゆく指揮官に「真弓コール」が起きた。屈辱の4位に終わったシーズン最後の甲子園。阪神藤川球児投手(31)がおわびの40セーブ目で締め、今季66勝目を逆転勝利で飾った。最後を見届けたのは、3万5229人と“下げ止まった”地元のファン。整列し、脱帽して頭を下げた真弓明信監督(58)と虎ナインに、温かい声援を送った。

 懺悔の思いを胸に右腕を振った。2点リードの最終回。今季最後の甲子園のマウンドには、当然藤川が立っていた。「あと1人」コールの中で迎えたのは細山田。8日横浜戦(横浜)でサヨナラ安打を許した相手だ。1ボール2ストライクからの4球目、外角低めの148キロはボールと判定された。守護神は苦笑い。だが、次の147キロで空振り三振。狙い通りの結末で、4年ぶり2度目の40セーブを達成した。

 「4位ですから、申し訳ないというのがあります」

 マウンドでは笑顔だった藤川だが、試合後の通路では硬い表情に戻っていた。チームは優勝どころか、CS進出も逃した。セーブ王のタイトルこそ確定したが、ファンに対する後ろめたさを感じていた。

 初球でいきなり153キロをマーク。普段多用しないシュートも駆使し、三振を狙っていった。松本にはバットに当てられ二飛になったが、2個の三振を奪った。出番があれば、持てる力を出し切る覚悟だった。

 シーズン終盤、勝負どころで失速するチーム状況に「ファンが減る可能性の方が高い。今まで阪神タイガースが築き上げてきたものを、崩すわけにはいかない」と警鐘を鳴らした。その言葉が現実味を帯びていた。順位確定後の消化試合では、空席が目立ち始めた。前日20日には05年の実数発表以来ワーストの2万4688人となった。

 「仕方ないよね」

 ガラガラのスタンド…。守護神に定着してからはほぼ初めて見る光景を、現実として受け止めようとしていた。最終戦のこの日は、3万5229人が球場に駆けつけた。11球の全力投球が、ファンへの恩返しとなった。【鎌田真一郎】