日本ハムの中継ぎ左腕エース宮西尚生投手(27)が、ファンからの思わぬ手土産をもらい故郷へ帰った。19日、札幌市内の室内練習場で自主トレを行った。投球動作の見直しをオフのテーマに掲げるが、そのバイブルとなったのがファンレターだった。新人時代から1年ごとに入っていた野球カードを見て、右肘の使い方の矯正を決意。キャッチボールやブルペンでも新フォームに好感触を得て、今日20日から始める地元の兵庫・尼崎での自主トレに備えた。

 1球ごとに、来季への手応えを感じた。宮西は笑顔で札幌での年内最後となる練習を終えた。「本当に感触が良かった」。ボールを持っていない右腕の使い方に手応えを得た。フォームの微調整に踏み切るきっかけは、1通のファンレターだった。「新人時代からの野球カードが入っていて、それを見ていたら右肘の開きが年々、早くなっていることがわかった」。驚きの発見で、来季へ向けた視界が広がった。

 ヒントを与えてくれたのは名古屋市在住の女性ファンだった。17日に球団事務所を訪れた際に受け取った。中身は手紙とサインを依頼されたカード5枚。「全部、左手がトップの位置の写真だった。見比べたら、09年や10年の時より、今年は右肘の引きが早かった」。悩むことのなかった09年後半から10年と、今年の写真は雲泥の差があった。

 シーズン中から、感じていた違和感でもあった。「どこのポイントが違うのだろうと。右肩、肘、手のどこの使い方なのか。それが確実になった」。右肘をリリースの瞬間までしっかり体に近いところに置くイメージを思い出した。「だいぶ、いい感じで放れましたね」と、好調時の感覚を取り戻した。

 名古屋在住の女性ファンには、すぐにサインを記してカードを返送した。「思わぬ収穫ですね。感謝しかない」。今日20日からは、地元での自主トレをスタートさせる。「どんどん投げて、フォームを固めたい」。最後まで笑顔が止まらなかった。【木下大輔】