<中日15-3阪神>◇23日◇ナゴヤドーム
かつての本拠地で阪神福留孝介外野手(35)が一矢報いた。大量リードを許した7回2死一、二塁のチャンスで打席がめぐってきた。中日のエース吉見の甘く入った直球をとらえると、打球は右中間フェンス最上部を直撃した。あと数メートルで本塁打という特大タイムリー二塁打で3点目をたたき出した。
ただ試合後、福留は厳しい表情でロッカーを出てきた。あと少しで本塁打という打球について問われると、短くこう言った。
「入っていない」
それだけ言い残して、足早に帰りのバスに乗り込んだ。07年以来、6年ぶりのナゴヤドームへの“帰還”だった。右翼席の中日ファンからはブーイングも、歓声も起こらなかった。それは福留からしても同じこと。試合前も、終了後も、多くは語らなかった。タテジマに袖を通した今は敵地の1つに過ぎない。そんな無言のメッセージを発しているようだった。
鬼門ナゴヤドーム攻略の先頭に立つことを指揮官からも期待されている。今季、第1ラウンドは大敗に終わったが、戦いはまだまだ続く。福留が米国に旅立った後、竜のエースとなり、ことごとく虎の前に立ちはだかってきた吉見ともこれから何度も対戦する。だからこそ、最後に見せた一打が重要な意味を持つ。
福留にノスタルジックな雰囲気はみじんも感じられなかった。試合後に見せた険しい表情が胸の内を物語っていた。因縁の「竜虎決戦2013」は、まだ始まったばかりだ。【鈴木忠平】



