<巨人5-3DeNA>◇25日◇岐阜

 勝ったけど…残念。巨人沢村拓一投手(25)が、DeNA戦で今季2勝目を挙げた。7回1死まで1人の走者も許さぬ完全投球。内村に左前打を浴びて大記録は逃したが、8回までこの1安打のみと完封ペースだった。9回に失策をきっかけにピンチを招き、石川に3ランを浴びて降板。西村の救援をあおいだ。詰めが甘く悔しい勝利も、最速153キロの直球で押す本来の姿が戻った。チームは3連勝で、DeNAに今季負けなしの5連勝を飾った。

 ものすごかった。戦国武将・織田信長のごとく沢村が、鳴かないDeNA打線を殺した。1回から150キロ超の直球で刺しまくった。1回を3者凡退で切り捨て、2回はブランコ、ラミレス、中村を3者連続三振で沈める。勢いは止まらず7回1死まで完全投球で突っ走った。

 周囲が暗闇に包まれる岐阜長良川球場。外野は同じ横浜スタジアムに比べ、450ルクスも暗い。比較的照明が明るいバッターボックスに突如として白球が襲いかかる。「直球は良かったと思います。打者を打ちとることに集中できた」と、3連続空振り三振にきったラミレスとの対戦が象徴的。全103球中7割を超える76球を多投した直球が薄暗い戦場で、ずばぬけた殺傷能力を発揮した。

 光だけではなく風もよんだ。試合開始から風向きが徐々に変化する独特の環境。本塁から左翼方向に風が流れた4回までは右打者には外角、左打者には内角を重点的に攻め、左翼方向へ打球を極力回避させた。「ひとつ良かった点として四球がなかった」と、自負した制球力も球場特性を生かしきる要素に加わった。

 戦に必要不可欠な闘争心は言うまでもない。ここまで2連敗で先発ローテ脱落の危機感に直面した背水の登板。完封目前の9回に3ランを浴び、悔しい降板となったが「チームのいい流れの中で自分だけ足を引っ張った。若い投手も含め、みんな結果を残している。今日は勝てて良かったです」と、ひとまず胸をなでおろした。

 9連戦の最初のカードは3連勝で圧勝に導いた。原監督も「ナイスピッチング。直球もそうだが、変化球でもカウントを整えられる。だから直球の威力も2倍、3倍になる。ウチの柱の1人ですから」と、たたえ「この球場の環境をも地の利にしたと思う」と、付け加えた。2年連続の「天下統一」をもくろむ強すぎる巨人軍には沢村もいる。【為田聡史】

 ◆岐阜城

 1201年に二階堂行政が稲葉山(現金華山)に築城したのが始まりとされる。戦国時代に入り、戦国大名で「美濃のマムシ」とうたわれた斎藤道三の居城だったが、1567年に織田信長が道三の孫である龍興を稲葉山城の戦いで倒し、稲葉山城から岐阜城と改名する。1576年に安土城が建設されるまでの約10年間、拠点とし、天下獲りを目指した。