<中日1-0阪神>◇25日◇ナゴヤドーム

 痛恨プレーで虎が連勝に失敗した。9回同点機で代走出場していた阪神田上健一外野手(25)が判断ミスにより、本塁憤死。走塁革命を掲げるチームだけに、田上は2軍降格が濃厚。ミスが響き、甲子園じゃ強い虎も、ロードでは4カード連続勝ち越しなし。苦手ナゴヤドームでのカード勝ち越しとはいかず小休止…。9連戦も負け越し発進ですが、横浜でのDeNA3連戦でイヤなデータを払拭(ふっしょく)するゾ。

 左翼席の虎党が沸いた。1点を追う9回だ。阪神は守護神岩瀬に食い下がった。1死一、二塁。代打関本の打球がレフト前にフワリと上がった。同点-。そう信じた一打に二塁走者田上は一瞬ためらい、ハーフウエーで止まっていた。落ちると見て再スタートを切ったが、本塁突入は藤井の好返球で憤死。足のスペシャリストの判断が遅れ、同点機をつぶしてしまった。

 和田監督

 接戦というか、この球場は特にこういう勝負になるが、ミスした方が負ける。負けるべくして負けた。

 虎将は怒りを隠せないように早口だった。普段から高い走塁技術に目を細める福留に代えて、あえて50メートル走5秒7の田上を送り出した。「スピードを」と聞かれた和田監督が「そういうこと」と言う起用が裏目に。田上は「ちゃんと判断していたらセーフになっていた」と下を向いた。23日に1軍昇格したばかりの4年目は再び2軍行きが濃厚。指揮官が鬼になった。

 ただ、問題は最終回に至るまでにある。3試合連続2ケタ安打中だった打線は1回、勢いよく入った。四球を選んだ西岡が果敢に三盗。1死三塁の先制機に3番鳥谷はあえなく三振した。前日24日も1回と3回の1死三塁で凡退。虎の主将は得点圏で24打数2安打、打率は8分3厘しかない。連日チャンスをものにできず「どんな形でもかえさないといけない。打てるように…」と唇をかんだ。

 和田監督

 主導権を握れなかった。ちょっと榎田を苦しませてしまった。(鳥谷は)打ってくれるよ、これから。

 最も信頼する鳥谷の不振を聞く声をさえぎり、熱き指揮官はきびすを返した。好投の榎田を見殺しにし、ミスで同点にできなかった惜しい1敗。甲子園では7勝1敗1分けも、これで敵地では開幕から4カード連続で勝ち越していない。今日26日からは横浜でのDeNA3連戦。「内弁慶」の声を断つためにも、貯金週間の戦いはこれからだ。【近間康隆】