<DeNA5-10阪神>◇26日◇横浜
失敗しても引きずらない。阪神大和内野手(25)が初回、2死一、二塁から三盗に失敗。先制機をふいにしたが、3回の2打席目で名誉挽回、今度こその先制二塁打だ。気持ちを切り替え3安打で今季初の2桁10得点の大勝を呼び込んだ。同郷鹿児島の福留から打撃の金言をもらって成長した2番は、尊敬する先輩にV打の誕生日プレゼントを贈った。
大和のバットが打線に火をつけた。3回1死一、二塁。追い込まれた後の6球目だ。緩い変化球にタイミングを外された。だが、下半身は崩されない。地面をつかむように踏ん張ると、きれいにバットを振り抜いた。打球は三塁線上を鋭く抜けていった。
「追い込まれていたんで食らいついていこうと思っていました。よく(下半身が)粘れたと思います」
均衡を破った先制適時打。ショックを隠せないDeNA高崎に猛虎打線が襲いかかった。ただ、3安打1打点の殊勲者は試合後、1つ反省を口にした。
「あれはミスなんで、しっかり反省しないといけないと思います」
初回2死一、二塁。二塁走者の大和は三盗を仕掛けたが、タッチアウト。打席に立っていたのは5番福留だった。クリーンアップにまわった先制機が、あっけなく消えてしまった。
だが、それを引きずるほど今の大和はヤワではない。チームも、福留も、積極的な姿勢を何よりも求めているということを分かっていた。レギュラーとして迎える開幕前だ。バント、進塁打という2番打者の役割に悩んでいる時、同郷・鹿児島県大隅半島の先輩福留に言われたことがある。
「右打ちばかりを意識して、バッティングが小さくなっているぞ。内角にきたら思い切り引っ張ったれ!
強く振れ!」
試合前のフリー打撃。大和の順番になると、右翼で守備練習をしている福留が動きだす。極端な前進守備を仕掛けてくるのだ。スイングは強く、大きく-。先輩からの無言のメッセージ。それに応えるようにバットを振ってきた。
初めて経験するフル出場の日々…。すでに疲れで思うように体が動かない状態も経験した。そんな時は空き時間を利用して、食事に誘ってくれた。「いっぱい食べろ」。1シーズン戦う中でのコンディションづくりも心配してくれた。
この日は福留の36歳の誕生日だった。ミスを恐れず、前を向く姿勢は同郷の先輩への何よりの“プレゼント”だったに違いない。守って、走って、つないで、決める。早くも、あらゆる局面で欠かせない男になった。大和の進化が、新生・和田阪神を強くする。【鈴木忠平】



