<ヤクルト4-2巨人>◇27日◇神宮

 巨人坂本勇人内野手(24)が、メジャー名門球団スカウトの目の前で右方向へのパワーを見せつけた。6回1死一塁。ライアン小川の外角140キロのカットボールを流し打った。右翼への強烈な追い風にも乗って4号2ランが飛び込む。昨季まではプルヒッター型。今年は全方位に安打が出るようになってきたが、ライトへの本塁打は3年ぶりだった。「風が強かった。それも頭に入れて打ちましたが」。運と的確な状況判断が合わさった。

 ヤンキースのウィリアムス・スカウトが視察に訪れていた。今オフに入札制度でのメジャー移籍の可能性がある楽天田中のチェックが重要事項だが、ヤクルト-巨人戦にも足を運んだ。「特定の選手については話せない」と話すにとどめたが、ヤ軍は遊撃手の逸材を獲得することが至上命令。主将ジーターが38歳で故障を抱えている状況で、11年オフには当時西武の中島(現アスレチックス)を入札した経緯もある。WBCでも正遊撃手を務めた坂本が高い位置にリストアップされる可能性は十分にある。

 10戦連続安打と好調を維持している坂本は、次回の小川との対戦を見据えていた。「(独特の)モーションでタイミングが取りづらかった。次、対戦する時までに修正したい」と1発にも課題を感じていた。【広重竜太郎】

 ▼坂本が6回、右翼席へ逆転2ラン。坂本の本塁打は通算91本目だが、方向別の内訳は左84本、中4本、右3本。過去に右方向への1発は09年6月8日楽天戦、10年5月13日西武戦しかなく、この日が3年ぶり3本目。過去2本はともに東京ドームで、敵地で右方向へ打ったのは初めて。