<西武8-4楽天>◇29日◇西武ドーム

 はい上がってきた男の意地に、西武渡辺監督は高揚感を抑えきれなかった。1点差に迫られた直後の5回。27日に昇格した代打大崎雄太朗外野手(28)が、再び主導権をたぐり寄せる2点適時打を放った。試合後の会見では、6カード連続勝ち越しを決めたこと以上に、今季初安打で貢献した背番号9の「骨太」な姿勢に語気を強めた。

 渡辺監督

 去年は(試合に)出られたけど、今年の開幕はポジションがなかった。まだまだ、オレがいるという存在価値をアピールしてくれた。こういう高いレベルでの争いは見ていて楽しいよね。

 5回2死満塁。永江に代え、大崎を代打に送った。「状態がいい選手なので」と明確な理由とともに、2軍監督を経験した渡辺監督らしく、2軍で培った“なにくそ魂”に期待を込めた。「思いを込めて、打席に入った」大崎は、2球目を中堅にはじき返した。

 昨季は107試合に出場したが、定位置を確保できず開幕直後に2軍落ちした。約3週間の2軍では飢えた心を内に秘め、牙を研ぎ続けた。潮崎2軍監督に「ポジションはどこでもやりますし、何でもやります」と懇願。本職の外野だけでなく、内野でもスタメンに名を連ねてチャンスを待った。今季のスローガンに「骨太」を掲げた指揮官が求めるたくましさを携え、戻ってきた。

 投の主役も、出番に飢えた武隈祥太投手(23)だった。1点リードの5回2死一、二塁、十亀の後を受けて登板。ピンチを断ち、6、7回も無失点で今季初勝利を挙げた。昨季はシーズン終盤に左肘を手術。開幕は2軍だったが、結果を積み重ね、1軍に戻ってきた。渡辺監督から「非常に大きかった」と絶賛されたが「これからも、コツコツと」と冷静。「骨太」な選手たちのチーム内競争が、首位の原動力となっている。【久保賢吾】