<オリックス4-2ソフトバンク>◇8日◇京セラドーム大阪

 雑草ルーキーがプロ初星でチームの連敗を6で止めた。オリックスドラフト1位松葉貴大投手(22=大体大)が5回1/3を6安打2失点。プロ2戦目で初勝利をつかんだ。最速146キロの直球に100キロ台のカーブ、ツーシームで相手を幻惑。金子でも西でも止められなかった6連敗をドラ1左腕が止めた。森脇監督もはい上がってきた男を大絶賛した。

 控えめな男がグラブをたたき、ほえた。5回だ。2安打とボークで1死二、三塁とすると、ギアを入れ替えた。今宮を内角の直球で見逃し三振、内川を左飛に打ち取った。勝ち投手の権利を手中に収めると、感情があふれ出た。初回から再三得点圏に走者を背負ったが、粘りに粘った。

 「うれしい気持ちと悔しい気持ちがあります。もっと長いイニング投げたかった。最後は祈る思いで見ていました。よかったです」

 この粘り、「打撃投手」から道を切り開いた雑草魂に由来する。東洋大姫路時代に左肘を故障し野手に転向。大体大にも野手として入学した。転機は大学1年。当時同リーグの関西国際大・松永(ロッテ1位)対策で打撃投手を任されると、これがはまった。キレがあり角度のある直球が健在。「バッピ」からエースまではい上がった。

 「プロは無理だと思っていた時もあります。でもプロに入れて。今までとても長い道のりだった」

 外れ外れ1位のドラ1が、3球団競合の東浜より先にプロ初勝利を、それもソフトバンク相手に挙げた。大学3年夏の全日本代表候補で2人は顔を合わせている。当時ほぼ無名だった松葉は東浜に勇気を振り絞ってツーシームの握りを聞いている。「気さくに教えてくれて。自分は不器用なんですけど、はまった」。それから2年。下馬評は逆でも1歩1歩歩んできた。

 キャンプは2軍スタートで、呼ばれた紅白戦でも荒れた。ひるまず進んだ雑草左腕が、6連敗中のチームを救った。「本当に長かった」という森脇監督は孝行息子に「前回もそうだが、投げっぷりがいい。気持ちのこもった球を投げている」と評価した。ウイニングボールは両親に送る。22歳のルーキーがたくましく見えた。【池本泰尚】

 ◆松葉貴大(まつば・たかひろ)1990年(平2)8月14日、兵庫県姫路市生まれ。東洋大姫路から大体大に進み、阪神大学リーグ通算31勝。昨年のドラフト1位でオリックス入団。ウエスタン・リーグ4試合で1勝1敗、防御率2・59。180センチ、77キロ。左投げ左打ち。