<広島3-2DeNA>◇8日◇マツダスタジアム

 頼れる男が帰ってきた。右背筋痛のため1軍本隊から離れて調整していた広島大竹寛投手(29)が、復帰登板でチームの連敗を5で止めた。4月25日ヤクルト戦(神宮)以来、13日ぶりのマウンドだったが、チェンジアップを武器にDeNA打線を翻弄(ほんろう)。8回2/3を8安打2失点に抑え、4年ぶりの完封こそ逃したが3勝目を挙げ、完全復活を印象づけた。

 試合後は、勝者の顔ではなかった。お立ち台に上がった大竹は、素直な気持ちを口にした。「まだ、気持ちが整理できていないです」。09年10月10日巨人戦(マツダスタジアム)で完封勝利を挙げて以来の、9回のマウンドだった。ファンからの大歓声を浴びていたからこそ「あと1人」での降板に悔しさが倍増した。

 完封を目前にして、9回無死一、二塁のピンチ。代打ラミレスをチェンジアップで空振り三振、4番ブランコにはスライダーで、この日3個目の三振を奪った。だが、中村に外角直球を捉えられ、適時二塁打を浴び1点差に迫られたところでミコライオにマウンドを譲った。それでも、8回2/3を8安打無四球2失点で3勝目を手にした。

 「勝ってこんな気持ちは珍しい。正直、悔しかった。本当に勝ってよかった。負けたらダメージがあるので」

 苦笑いする右腕は“GW”が明けて完全にリフレッシュされていた。前回登板の4月25日ヤクルト戦(神宮)で5回89球で降板。アクシデントが発生したのは、その2日後だった。ランニング中に、右の背中部分に痛みが走った。大事を取って、5月1日には精密検査を受けた。「不安はあった」と、筋肉に傷が入っていれば、長期離脱も覚悟したという。だが、幸い症状は重くなかった。

 1軍本隊には同行せず、大野練習場では体のケアに努めた。患部のケアと並行して、時間を割いて入念に行ったのが下半身の柔軟性を取り戻すためのマッサージ。「下半身が結構硬かったので、それが上半身に来た形になっていた」。知らぬ間に蓄積していた疲労を十分に取り除いた。

 完全復活した右腕を、野村監督も「1にも、2にも大竹です」と絶賛した。チームの連敗も5でストップ。沈みかけていたチームに、頼れる存在が、充電満タンで帰ってきた。【鎌田真一郎】