<ヤクルト2-4阪神>◇12日◇松山
松山っていいところです。温泉もあって、みかんはおいしくて、阪神は強さ倍増の5年ぶり6連勝です。抹消された藤浪の代役・能見の奮闘に応えたのは、絶好調の新井貴浩内野手(36)。1点を追う8回、同点としてなお1死三塁で左翼席へV2ラン!
母の日を逆転で飾った。あす14日からは交流戦が開幕。パ・リーグ相手に、猛虎の強さ見せつけたれ。
自然と出た。松山の雲ひとつない青空へ、坊っちゃんスタジアム奥の山々に向け、白球が消えていく。一塁ベースを回り、左翼席着弾を確認。新井は小さく控えめに、それでいて力強く、右拳を握った。
新井
能見が頑張っていたんで、点を取ってやりたいと思って。うまく反応できた。体が切れているね。
同点とした直後の8回1死三塁。松岡に1ボール2ストライクと追い込まれ、内角高めのつり球145キロを豪快にフルスイングした。勝ち越しの6号2ラン。誰もが期待した最高のシナリオが決まり、08年7月以来5年ぶりの6連勝、今季最多の貯金9を現実にした。
新井
母も喜んだと思います。
左腕にはピンク色のリストバンドを巻いていた。5月12日は「母の日」。広島で暮らす母には、裕美子夫人から毎年花束を贈ってもらう。「今年もやってもらったよ」。カーネーションだけでも母の喜ぶ顔が目に浮かぶ。そこに豪快弾までオマケしてしまうとは…。
実は昔から孝行息子だった。バリバリの野球少年だった小学生時代、「母の日」の直前は生花店の常連だった。貴重な遊び時間の合間を縫い、小遣いからなけなしのお金をかき集め、プレゼント用の花束を購入しに行ったと言う。男の子ならどうしても照れてしまいがちな行為だが、貴浩少年は人一倍母親思いだった。
新井
自分のお金で買ってね。お父さん、お母さんは大事にしないとね。
決して高価なモノは買えない。それでも感謝の気持ちを伝えたかった。温かいハートは子供のころからだ。そんな兄の姿を見て、7歳下の弟良太も少年時代から花を贈るようになった。「プロ1年目までは花を贈ってた。今は毎年、電話してるよ」とは良太。貴浩少年の姿は弟、そして全国の少年たちのかがみだ。
あれから20数年が経過し、この日はアーチもプレゼント。10戦連続安打を記録し、ここ7試合で5発。ヤクルト戦は今季打率4割2分9厘、3本塁打、16打点。松山では通算打率3割6分5厘、2本塁打、10打点。得意とする球場、相手から充電、明日14日の交流戦開幕オリックス戦(甲子園)に向かう。
新井
強いですね。チームみんなが一丸となっている。雰囲気もいい。(交流戦へ)しっかり練習して調整して、初心に帰って気を引き締めていきたい。
首位巨人の背中をつかんで離さず、1・5ゲーム差をキープ。猛虎打線、そして新井の迫力は本物だ。【佐井陽介】



