<ソフトバンク5-2西武>◇12日◇熊本

 ソフトバンク吉村裕基外野手(28)が2年ぶりに「母の日アーチ」を描いた。2-2の7回に西武坂元からバックスクリーン右へ決勝の4号3ラン。秋山監督の熊本凱旋(がいせん)に花を添えた。4月下旬に合流した和製大砲が年間36発ペースで打ち始め、明日14日から交流戦が開幕。セ・リーグを知る吉村が頼もしい!

 打球は逆風にびくともせず、バックスクリーン右へ吸い込まれた。「手応えは完璧でした」。打った主は一塁を回り、熊本の青空へ右腕をブンと突き上げた。

 同点の7回。吉村が決勝3ランをぶっ放した。直前に松田が敬遠気味の四球で歩いたが、「感情を出してはいけない」と冷静だった。カウント3-1。獲物は坂元の外角スライダー。ヘッドを十分走らせたバットでガツンと食らいついた。東福岡1年夏の北九州市民球場。サードがジャンプして捕球しようとした当たりが左翼スタンドに突き刺さった、怪童・中西太ばりの“伝説”を持つ男らしい、パワフル弾。打線が湿りかけた中盤に試合を決めた。

 キャンプを左ふくらはぎ痛で遅れ、オープン戦終盤は調子が出ず、開幕2軍だった。1軍昇格した4月27日のロッテ戦。今季初打席初スイングで1号ソロを放ち、13試合で早くも4本塁打を数える。計算上は年間36発ペースだ。

 「移籍していろんな人に指導していただいたおかげです。開幕1軍ではないのに上げてもらい、すぐ試合に使ってもらい、1打席1打席が勝負です。代わりはいっぱいいますから」

 ペーニャに松中と2軍にはまだ強打者が控える。慢心はない。昨年のDeNAではチーム事情で出番は限られた。直接指導もしてくれた秋山監督から試合に出る喜びを与えられ、感謝し、今を懸命に生きている。

 2年前にも母の日にサヨナラソロを放った。試合前はピンク色の特別バットで練習。練習用グラブには「おかげさま」の刺しゅうがあった。恵まれた体に生んでくれた母に感謝し、移籍後初となるお立ち台でマイクを握った。「今日球場に来られているお母さん、いつもありがとうございます。実家の母ちゃん、やりました」。福岡・古賀市の実家に向け、大声で叫んだ。

 秋山監督の故郷熊本での試合とあってダブルの“親孝行”となった。「いい1発だったな。1発が持ち味だし、そこを意識してやってるね」と指揮官を喜ばせた。連勝で、西武にはこれで5連勝。「優勝を目指しているし、その役割を果たしていければ」。いい流れで交流戦を迎える。セ・リーグは昨年まで吉村の主戦場。通算115発のうち、92発を放っている。果たすべき仕事はたっぷり残されている。【押谷謙爾】