<阪神9-5ソフトバンク>◇18日◇甲子園

 空中戦は3本対4本で鷹に負けたけど、地上戦が勝利のカギだった。阪神が初回の重盗、貴重な追加点につながった新井の二盗など、和田豊監督(50)のタクトに導かれ、7年ぶりの1試合5盗塁。連敗を3で止め、交流戦初勝利で弾みを付けて、いざ東上。今日からパ・リーグ本拠地で続く西武、ロッテとの関東遠征に出た。

 勝利に飢えた虎は貪欲だった。阪神が走って、打って、守って…勝った!

 阪神和田監督は試合後、開口一番に本音を漏らした。「ヒジョ~に久しぶりの気がしますね」。貯金9で突入した交流戦で、まさかの3連敗スタート。5連敗発進した昨季の悪夢がよみがえる中、3本のアーチで鬱憤(うっぷん)を晴らした。6日ぶりの今季24勝目は、また格別の味だった。

 黙っていては勝機はない。ベンチが動き、ナインが甲子園の黒土を駆け抜けた。試合前のミーティングでは積極的な走塁を再確認。1回は先頭打者弾のあとの無死一、二塁で、4番マートンのフルカウントから大和と鳥谷が重盗した。6-4の5回は新井が2死から盗塁。相手暴投で二塁から一気に生還した。5盗塁のうち4つを得点につなげ、「走塁革命」を掲げる指揮官の思わず声も弾んだ。

 和田監督

 隙あらば、という話はしていた。ここ3試合はできていなかったからね。今までやってきたタイガースらしいものをやろうと。3点差にした新井のスチールがね。暴投でかえった1点が大きかったね。

 6回には、2死から四球を選んだ大和が塁上から左腕川原に重圧をかけた。2つのけん制をもらった直後、鳥谷が外角直球を左翼ポール際に2ラン。虎将は「行くと見せかける中で、トリも配球を読んだ。走るだけが走塁じゃない」と高く評価した。救援陣が踏ん張り、要所では3併殺を完成させ、ようやくつかんだ交流戦初勝利。走る虎にこそ、猛獣の怖さがある。【近間康隆】

 ▼阪神の1試合5盗塁以上は、06年6月14日楽天戦(フルキャスト宮城)5盗塁(赤星3、赤松1、今岡1)以来7年ぶり。甲子園に限れば、01年9月23日中日戦5盗塁(赤星2、上坂3)以来12年ぶり。