<ロッテ7-0広島>◇19日◇QVCマリン
広島ニック・スタビノア外野手(31)が343日ぶりの安打を放った。ロッテ戦に「3番DH」で左膝手術から復帰後、初のスタメン出場。6回先頭で巡ってきた3打席目で、右前打を放った。昨年6月10日オリックス戦(マツダスタジアム)以来、つらいリハビリを乗り越えてHランプをともした。チームは今季3度目の完封負け。帰ってきた大砲とともに巻き返す。
舞台は整った。パ・リーグの本拠地での試合となったこの日、満を持してニックがスタメンに名を連ねた。「3番DH」。手術した左膝の状態は万全ではない中でも、期待の大きさを物語る。
快音が響いたのは、3打席目だった。6回の先頭打者として打席に立った。「最初の2打席は、なかなかタイミングが合わなかったけど、その次は変化球に対応しようと思った」。その狙い通りだった。2ボール2ストライクと追い込まれながら、大嶺の外角低めスライダーを芯で捉え右翼前に落とした。安打は昨年6月10日オリックス戦(マツダスタジアム)以来。その翌日の試合で、一塁へ全力疾走してベースを踏んだ際、左膝の前十字靱帯(じんたい)と内側半月板を損傷し、長いリハビリ生活が始まった。
この日、最もスタジアムがわいたのは、試合前だったかもしれない。開門直後から、真っ赤に染まった左翼スタンドの鯉党は、ニックのフリー打撃にくぎ付けになった。QVCマリンの上空を舞う強風を切り裂きながら柵越えを連発。ボールがスタンドに運ばれる度に、徐々に大きくなっていく歓声は、いつのまにか拍手をともなう「おかえり」の声援に変わっていった。
「カープファンは素晴らしい。温かい応援をしてもらって、うれしかったよ」
1年間のブランクがあっても、変わらぬ声援が身に染みた。
ただ、復帰したことだけに満足などない。1回1死三塁の好機で、最低でも犠飛を打っていれば試合展開が変わっていたかもしれない。ニックも責任を感じている。
「打点を稼がないと。チームが勝ちにつながる仕事をしたい。打点を挙げられなかったことは修正していかないといけない」
先制されたら14連敗という現状が、打線の反発力の無さを象徴している。12球団最少のチーム本塁打(19本)と長打力不足の打線に、心強い大砲がカムバック。ニックとともに、チームも新たなスタートを切る。【鎌田真一郎】



