<西武5-10阪神>◇19日◇西武ドーム

 虎のミスター・メイや!

 阪神新井貴浩内野手(36)が豪快弾をぶちかました。6回にダメ押しの7号2ラン。2回には反撃の口火を切るヒットを放っており、猛虎打線を引っ張った。5月に入って月間打率3割6分8厘。本塁打も5月6発。前日に連続試合安打は13で途切れたが、頼もしいスラッガーは再び快音を連ね始めた。

 敵に引導を渡す一撃だった。白球は低空ライナーで左翼席に刺さる。無数のファンが持つ西武名物の青い旗はピクリとも動かない。新井のひと振りで、試合序盤、1発攻勢を仕掛けてきたレオ軍団に「白旗」を上げさせた。2点リードの6回2死一塁。岩尾の浮いたフォークを見逃さない。思い切りしばき上げるとライナーでポール際へ。打った瞬間、それと分かる弾道で、試合を決めた。

 新井

 良かった。何も考えないでね。追い込まれましたが、失投をしっかりとらえることができましたね。シュート回転で高めに来た。しっかりスイングできて良かった。いいスイングができました。

 まさに自画自賛のひと振りだった。7号2ランで4点差に拡大。スラッガーとしての力量を示した。4月は月間打率2割4分7厘だったが、5月に入ると爆発。15戦で57打数21安打と打ちまくり、打率3割6分8厘。6本塁打と量産態勢の予感だ。05年には43本塁打でキングに輝いた。迫力たっぷりの強振を披露し、威光を取り戻しつつある。

 好調の秘訣(ひけつ)は引き締まった肉体だ。近年は重量感がある印象だったが今年は違う。5月初旬。定期的にメディカルチェックを受ける京都府立医大の看護師が甲子園のクラブハウスを訪れた。体のサイズを測定すると、従来より理想的なアスリート仕様の肉体になっていたことが判明した。昨年6月に比べて臀部(でんぶ)の周囲が8センチ分厚くなり、腹回りが5センチスリムになったという。動きやすく力が出る体に整え、機敏な動きにつなげた。

 同時に採血も実施。通常なら2月の春季キャンプ中に実施して開幕に合わせるが、今年は負傷した右肩のリハビリを行っていたこともあり、時期をずらした。関係者は「逆にタイミングが良かった。梅雨の時期から夏場にかけてアプローチできる」と説明。これからの暑い季節に、さらに調子を上げそうな気配が漂う。

 ヒーローインタビューこそ、ご当地で育った鳥谷に譲ったが、新井も負けじと西武ドームが似合う。09年に2本、10年に1本のアーチを架けており、この日は3年ぶりのオーバーフェンスだ。長々と続く階段の足取りも軽い。「しっかり積み上げていきたい」。大砲の完全復活へ。さらに勢いがつく白昼のアーチショーだった。【酒井俊作】