<楽天3-1ヤクルト>◇20日◇Kスタ宮城

 楽天戸村健次投手(25)が今季初登板初勝利を挙げた。8回5安打、無四球で1失点と力投。2回以降は三塁を踏ませず、チームの連勝に貢献した。今季は開幕ローテーション入りしながら雨天順延、直前の体調不良などが影響して登板機会を逃してきた不運な男が、マウンドで意地をぶつけた。

 三度目の正直とは、このことだ。戸村は開幕ローテーション入りしながら、これまで2度の先発機会を失っていた。4月3日オリックス戦は雨に流れた。同10日の日本ハム戦は、登板前に水疱瘡(みずぼうそう)にかかった。「1週間自宅待機でした。38度5分の熱が出て、全身のかゆみがつらかった。(運を)持ってないと思ったけど、絶対にチャンスはくると思って切り替えました」。病床でもテレビを見て、打者の研究を怠らなかった。

 開幕から53日。2軍での再調整を経て、待ちに待った出番に気持ちが高ぶった。「初回は緊張しすぎて、あまりよく覚えていないです」。1回、警戒していたバレンティンに浴びた先制打は、外角を狙ったカットボールが抜けた。逆球の連続だったが、その後を引きずらない。2回以降は三塁を踏ませなかった修正能力が、4年目の成長の証しだった。

 昨年5月11日オリックス戦(京セラドーム)以来のプロ4勝目。お立ち台で、本拠地ファンに誓った。「2013年の戸村は違うというところをみせていきたいと思います」。昨年までとの違いについては「精神面を指摘されることが多かったので、強い気持ちをもっていきました。3ボールになっても粘れたし、ファームで重点的にやってきたシュートで内角を攻められた」とハートの強さを前面に押し出した。

 星野監督の態度も一変させた。登板前日、1軍合流のあいさつをすると「お前は誰だ」と知らん顔された。期待ゆえの厳しさだったが、試合後は「今までの戸村じゃないみたいだな。今日はよく粘って100点」と前日好投した永井に続いて満点が出た。これを受けて戸村は「初めて100点をもらいました」とニンマリ。もう名前を忘れたとは言わせない強烈な印象を植えつけ、二転三転したシーズンがようやく“開幕”した。【柴田猛夫】