阪神伊藤隼太外野手(25)が100分交渉を行った。プロ3度目の契約更改交渉は予定の30分を大幅に超えて1時間40分となった。会見場に現れた伊藤隼の表情は、晴れ晴れとしていた。

 「これまで3年間感じてきたことをストレートに伝えました。金額面に関してではない。有意義な時間を送れました」

 金銭交渉の場で、これまではできなかった野球談議に花が咲いた。プロ3年間だけでなく慶大時代まで、話題は尽きなかったという。交渉役の高野球団本部長は「掛布さん(DC)のことだとか、ここまで頑張ってきたこととか。これから若手を育成する上で大いに参考になった。信じるところ、考えるところや信念。我々の仕事に通じるところもあった」と共鳴。「後ろに待たせてしまったけど、ついつい脱線しちゃってね」と、北條、梅野との交渉を遅らせてまで、隼太のトークに耳を傾けた。

 年俸自体は300万円増の1500万円でサインした。夏場に戦列に加わると、日本シリーズまで1軍に定着した。52試合に出場し打率2割9分4厘、2本塁打をマーク。栄光のドラフト1位で入団したプロ1年目の年俸に戻り「打撃だけではいけない。守りも走塁もトータル含めて1試合を任せられる選手になりたい。1年シーズン通してレギュラーで出たい」。守備面など課題は山積み。思いのたけを球団にぶちまけ、4年目の飛躍へ視線を向けた。<伊藤隼過去の更改>

 ◆12年オフ

 100万円減の1400万円。ドラフト最上位入団新人野手の減俸は球団史上初。「年間を通して上で戦力になれなかった。仕方ないかなと思います」。

 ◆13年オフ

 200万円減の1200万円。1軍と2軍を行き来した1年を振り返り「悔しさしか残らないシーズンでした」。