忍者ウエダくんへの第1歩だ!

 阪神のドラフト5位植田海内野手(18=近江)が2日、約15センチの積雪が残る滋賀・甲賀市で自主トレを公開した。新年の誓いはナント…。「忍者みたいと言われるようになりたい!」。175センチ、72キロと小柄ながら、俊足・堅守の遊撃手として「忍者ウエダくん」の定着を誓った。

 故郷の甲賀は一面の銀世界で門出を祝っていた。「ここまで降ったことはあんまりないですね」。家族が運転する車を降りると一瞬「寒いです…」と顔を引きつらせた。それでも手に装着した軍手を外すと、スイッチが入った。サッサッサッと雪上を元気に走り、うっすらと段差が見える階段を駆け上がる。悪条件を物ともしないのは生まれ育った環境から来るのか。その姿は確かに似ていた。

 「忍者みたいと言われるようになりたいです」

 甲賀と言えば三重の伊賀流と並び、忍術の中で有名な2大流派として知られる。植田も小学生のころから「社会見学で忍者屋敷に行きました」と地元の文化に親しんだ。植田のウリは俊足と堅守。足は高校時代、50~60の盗塁を企図し失敗はわずかに1度という。守備では、昨夏の選手権を見た高代作戦兼内野守備走塁コーチを「あのショートはええな」とうならせた。自分のスタイルには忍者がピタリと当てはまった。

 忍者ウエダくんへの道は地道な努力が欠かせない。まずは今年1年でケガをしない体作りに打ち込む。昨年12月の体力測定で柔軟性の欠如を指摘され、配布されたメニューをこなしている。年が明け「いよいよという感じですね。まずは(プロに)慣れることです」と謙虚に足元を見つめる。

 「守備でチームをまとめる要の選手になりたい」

 昨秋、日米野球第3戦で滋賀出身の楽天則本が継投でのノーヒットノーランに貢献する姿をテレビ観戦した。「滋賀のすごい選手と一緒にやってみたいのはあります。でも(WBCは)無理ですね…」。大きな夢は自信がついてからでいい。忍者は陰で任務を遂行すべし。黒土にまみれて広い内野を右へ左へ。忍者ウエダくんは近い将来、甲子園名物になるはずだ。【松本航】

 ◆植田海(うえだ・かい)1996年(平8)4月19日、滋賀県生まれ。小学2年で野球を始める。近江で3年夏に甲子園出場(3回戦敗退)。14年ドラフト5位で阪神入団。コースに逆らわず、コンパクトに打ち返す打撃が持ち味。175センチ、72キロ。右投げ右打ち。