広島新井貴浩内野手(37)が13日、石原と鹿児島市内の最福寺で護摩行を公開した。今回で11度目となる恒例行事。だが8年ぶりの古巣復帰が決まり「気」が違っていた。池口恵観法主(78)からは「不退転の決意、猪突(ちょとつ)猛進、臨球応打」の言葉を授かった。精神的に若返った新井が覚悟を身にまとった。

 燃えたぎる護摩木を前に、広島新井は叫びながらお経を唱えた。90分間に投入された護摩木は約2500本。火柱は天井まで届き、火の粉がけさに降りかかった。自ら自由契約を望み、8年ぶりに古巣復帰する。通算11度目の修行は池口法主から見ても、明らかに違っていた。

 池口法主

 去年より若返っている。1年目にレギュラーを取りたい、と言って来たときのような感じです。体全体から「気」が出ています。今年は本塁打王を取ってほしいですね。

 04年12月。広島のホープ新井は初めて最福寺を訪れた。炎のような熱気とやる気をまとっていた。今回、「座っているだけで分かった」と、法主はその時に似た雰囲気を感じていた。その覚悟だ-。脇目を振らず、突き進め。色紙には「不退転の決意、猪突(ちょとつ)猛進、臨球応打」としたため、言葉を授けた。

 あの時の気持ちで、またスタートを切る。修行を終えた新井は覚悟に満ちあふれていた。顔は赤く腫れ上がり、足はふらついた。だが目は真っすぐ前を向いている。「しっかり自分の気持ちを固めることが出来たと思います。17年目のシーズン。また初心に帰って、1年目のような気持ちでシーズンに臨みたい」と力強い口調で言った。

 すでに緒方監督から1軍スタートを明言され、キャンプインの2月1日に照準を合わせている。走攻守ともにトレーニングを積み「順調に来ていると思います」。三塁は堂林、梵、鈴木誠らライバがにらみを利かせる最激戦区。勝ち抜く準備は整い始めている。

 これで精神面の準備も整った。「この厳しい修行をやらないと1年が始まらない。スイッチが入る感じ」。ただならぬ覚悟と決意をまとった新井が、がむしゃらに白球を追う。【池本泰尚】

 <新井近年の護摩行>

 ◆12年1月12日

 1時間過ぎたころ、全身にしびれが走り、お経も途切れ途切れに。自己の限界に近い熱さに挑み「何も考えられなかった」と振り返った。池口恵観法主から「勇猛精進」の言葉を贈られた。

 ◆13年1月14日

 わずか9本塁打に終わった前年の自分に対し「コノヤローッ」と怒鳴りながら、猛火と向き合った。池口法主から「本塁打王をとったとき(05年)の気の出し方を思い出せ」と苦言を受けた。

 ◆14年1月13日

 例年より1000本増えた護摩木の火力を前に、終盤の15分は目をつぶる場面も。「倒れるかと思った。初心に帰るいい機会」と振り返った。池口法主からは「快打炎心」の言葉と「体と心をフル回転させなさい」と助言を受けた。