新井田が歴代単独4位のV7/ボクシング※画像クリックで拡大表示<プロボクシング:WBA世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇1日◇東京・後楽園ホール◇観衆2050人

 王者の新井田豊(29=横浜光)が世界戦初のKO勝利で、史上単独4位となる7度目の防衛を飾った。同級13位ホセ・ルイス・バレラ(29=ベネズエラ)を6回2分16秒KOで下した。開始から攻撃的なボクシングを展開し、3回には左フックでダウンを奪取。最後は左ボディーからの連打で仕留めた。具志堅、勇利、徳山に続く防衛記録。微妙な判定が続き、知名度は低かったが、節目の試合で存在感を見せた。新井田は23勝(9KO)1敗3分けとなった。

 クールな男が喜びを爆発させた。世界戦10戦目で初のKO。大の字になったバレラを確認すると、新井田は側転からバク宙の「連続技」を披露した。日本ジム所属選手では単独4位となるV7。「お客さんに実力を見せられてうれしい」と理想的な形での記録達成に表情を緩めた。

 ゴング直後からKOへの執念があふれた。初回から足を使う相手を追い詰め、打ち合った。3回、左フックで、世界戦初のダウンを奪う。6回には左ボディーアッパーから激しいラッシュで勝負を決めた。世界戦における日本人のミニマム級選手では、90年2月の元世界王者大橋秀行氏以来の価値あるKOだった。

 並外れた運動能力とスピードで天才と言われた男も2度目の世界王座獲得後から勢いを失う。04年10月の初防衛から微妙な判定勝利が続いた。「一時期は伸び悩んで、自信をなくしたこともあった」。追い打ちを掛けるように、06年夏には左肋骨(ろっこつ)を骨折し、1年間のブランクをつくった。

 世界王者でありながらどん底だったが、地道な努力は忘れなかった。メンタル強化、食事管理を独学で研究した。30代目前の年齢を考え、あえて試合前の練習量を減らし調整を重視。一方で、昨年9月には米ロサンゼルスの名門メイウッドジムを見学、同12月には標高3000メートルの酸素濃度に設定した低酸素室でのトレーニングを始めた。常に新しいことを取り入れる、貪欲(どんよく)な姿勢がこの日のKO劇につながった。

 次戦は同級1位ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)の指名挑戦を受けることが有力になる。KO率9割以上を誇る20歳の最強挑戦者。対戦前から、不利の予想も出ている。だが、新井田はそんな声に反発するように「強い選手だが、オレにもプライドがある」と言った。超攻撃スタイルで輝きを取り戻した世界王者が、長期防衛ロードを歩む。【田口潤】[2008年3月2日8時28分

 紙面から]関連情報第2回スポーツ博士検定申し込みはコチラ無料メール登録でお宝グッズプレゼント!!

 携帯「ニッカン★バトル」初代タイガーマスク直筆サイン入りフィギュア発売中!内藤大助特集はこちら