<連載「気になリスト」(74)>

 デビュー3年の女優木下あかり(21)がブレーク直前だ。透明感あるたたずまいは出色で、堤真一、瑛太、北村有起哉が出演する舞台「ロンサム・ウェスト」(5月3日から東京・新国立劇場)に抜てきされた。アイルランドの荒れた村を舞台に一筋の光となる少女を演じる。稽古前に本読みで共演者と顔を合わせた。「すごい方々ばっかり。テレビや映画で見ていた方々なので何が何だか分からない状態でした」。それでも「振り落とされないよう頑張りたい。役作りというより、その役の芯、柱が1本あれば成立すると思っている」と意気込んでいる。

 「小さいころから演技をするのが当たり前と思っていて、女優以外の仕事を考えたことがないんです」。熊本生まれの福岡育ち。小学校低学年のころ、地域の子供たちで劇をしたのが芝居初体験。「お客さんの拍手がうれしかった、と母に言ったみたい」。高校時代は演劇部で演技も裏方も学んだ。人見知りで緊張しいだが、仕事、芝居を始めると自然にスイッチがオンになる。根っからの女優魂を持っているようだ。実は今回、人生初取材。緊張して仕方ないというが、それをみじんも見せない自然な会話と振る舞いだった。

 周囲の人にかわいがられるという生まれつきの“才能”もある。マネジャーは「初めてお会いした大先輩にお食事やご自宅に誘っていただくことが多い。『今日こんなことがあったよ』という報告に毎日びっくりしてます」。昨年、舞台共演した小栗旬には妹のようにかわいがってもらい、小栗の妻山田優の手料理をごちそうになることもある。

 福岡で演技を学んでいたころスカウトされ上京したが、まだ父は大賛成ではない。「私の舞台を1回も見たことがない。『ロンサム-』は見てほしい。航空券、ホテル、舞台のチケットを全部取って渡したら来てくれるかな」。

 映画、ドラマなど何でも挑戦したいと語る。飛躍を誓って「ロンサム-」の舞台に立つ。【小林千穂】

 ◆木下(きのした)あかり

 1992年(平4)12月31日、熊本県生まれ。11年フジテレビ系CSドラマ「スイッチガール!!」を皮切りにドラマ、舞台、映画に出演。昨年は長塚圭史演出の舞台「冒した者」、今年はTBS系ドラマ「隠蔽捜査」などに出演。趣味は映画観賞、読書、ジョギング。憧れの女優はキムラ緑子、大竹しのぶ、松たか子。163センチ。血液型A。