石橋凌「ARB」復活で語る/1998年4月13日付
1990年(平2)に解散した伝説のロックバンド「ARB」が3月21日にアルバム「REAL LIFE」を発売して完全復活した。新メンバー二人を加え、8年ぶりの復活だが、シンプルなサウンドと現実を直視した歌詞は健在で、ラブソング全盛のロック界に新鮮な響きを放っている。
ボーカルの石橋凌(41)は「イデオロギーや社会的なことを歌うことばかりがロックだとは思っていない。でも、大人たちの矛盾や汚さを一番表現できるのも歌や映画だったりするはず。もっと意志のある、対話のできる歌があってもいいと思う」と力を込める。
石橋は慕っていた俳優の故松田優作さん(享年39)の遺志を継ぐためバンドを解散した。二人は「日本から海外に発信できるクオリティーの高いものを作っていかなければ」と、よく話し合った。石橋は松田さんが死去して、その実現のため俳優を選んだ。
石橋は優作さんが亡くなった39歳になった時、北野武監督(51)の「キッズ・リターン」に出演し、バンド再開を決意した。石橋は「たけしさんは優作さんと同じことを目指していると感じた。淡々とした中にある緊張感も優作さんの現場に似てました。その中に身を置き俳優としての一つの達成感を感じ、もう一度歌いたいと思った。41歳のおっさんがロックやってる生きざまを見せるのも大切だと思います」と、ARB復活の真意を語っている。
[1998年4月13日付]