原田芳雄、主演映画で長髪をバッサリ/1997年4月14日付
個性派の原田芳雄(57)が、主演映画「鬼火」(4月19日公開)の中で、トレードマークともいえる長髪をバッサリ切り落としてヒットマン(殺し屋)役を演じた。野球部に所属していた中学、高校時代以来という“丸刈り”に近い状態。「別に長髪にこだわっていたわけじゃない。さっぱりとした気分でやりたかっただけ。でも病みつきになるんだよね」と撮影を終えた現在、伸びかかってきた頭をなでた。
劇中では、人生の多くの時間を刑務所で過ごしたヒットマンが社会の変化に戸惑いながら新しい人生を歩む姿を、ひょうひょうとしたユーモアを交えながら演じている。「僕は“笑い”は信じる。“泣き”はどこかで信じられない」と話す原田は、今回も随所に思わず噴き出してしまうようなシーンを自身のアイデアで織り込んでいる。「人間は追い込まれると最後は笑っちゃうしかない時がある。笑わなきゃ乗り切れない場面がね」。
原田の盟友ともいえる故松田優作さんも重々しい場面にユーモラスなしぐさ、セリフを入れることがうまかった。「あいつ(自身の生き方)もそうだよ、どっかそういうところがあった。こう着した場面で、変なおかしさからパワーを生み出すんだよね」と懐かしそうな表情を浮かべた。「昔から“笑い”で救われてきた。だからこれからもおかしい映画が欲しいよね」という。
[1997年4月14日付]