優作追悼公演「ロレンス」は6月/1990年5月23日付
昨年11月にぼうこうがんのため39歳の若さで亡くなった俳優・松田優作さんの追悼公演が、6月22日から東京・江東区のベニサンスタジオで行われる。
松田さんは俳優としての顔のほかに、映画「ア・ホーマンス」で監督挑戦。さらに文学座出身だけに演劇にも関心が深く、舞台演出家としても、無名の若者たちによる演劇グループ「UV シルエット」をバックアップし、その公演の原案・演出を担当していた。4年前の「マオモ」をはじめ、昭和63年の「モーゼル」「トレイプ」など実験的な作品を小劇場で上演してきた。
今回は数年前から構想を暖め、最後の映画となった「ブラック・レイン」の撮影の合間にも、準備に当たっていた松田さんの原作による「ロレンス」。これは映画「アラビアのロレンス」に着想を得て、風のように生きた男を描く作品だ。
公演に向けての準備中に亡くなったため、生前一緒に舞台活動してきたスタッフの小島康志さんが脚本、森美智夫さんが演出を代わって担当。さらに出演者も松田さんの演出のもとで舞台に立った若い役者ばかり。グループとしては2年ぶりの活動再開となるが、脚本の小島さんは「よく僕らの面倒をみてくれた。このロレンスは松田さんが前々からやりたがっていた作品だけに、追悼公演に恥じないものにしたい」と連日けいこに励んでいる。
[1990年5月23日付]