<チャレンジ!!ヘラブナ道場!!>

 いよいよ野生のヘラブナと対決だ!

 日刊釣りペン・クラブのヘラマン関川康夫さん(60)が道場師範代となる「ヘラブナ道場」では、管理釣り場で底釣りの特訓を積んで、ヘラブナ釣り発祥の山梨・精進湖で春の底釣りに挑んだ。ボートの固定方法をマスターしたところまでは順調だったが、自然の湖での底取りでつまずいてしまった。

 2日間の釣行修業を精進湖で行った。関川師範代が2日目に合流することもあり、大関実コーチ(45=08年日刊スポーツ・フィッシング・サーキット王者)には「簡単にアドバイスを与えるな」という指令が下っていた。管理釣り場「富里の堰(せき)」で底釣りの特訓を経てきた門下生永瀬洋さん(37)と中村豪さん(32)には、いきなりの試練となった。

 まず、2人とも住んでいる茨城県大子町の野池では岸釣り専門なので、本格的なボートでの釣りは初めて。「湖畔荘」(渡辺金尊店主)の桟橋から南に約200メートルほど下った葉山の溶岩帯にボートをつけ、カケアガリを狙うプランとした。オールの使い方で戸惑ったものの、10分ほどで釣り場に到着。岸にボートの3点をしっかりとロープで固定して準備はできた。

 大関コーチ

 ヘラ釣りは自分の座っている場所がグラグラ動いてしまってはヘラのアタリが分からなくなってしまう。しっかりロープを張ってボートを固定することは基本中の基本。

 問題は底取りだった。永瀬さんはウキがドボン、と全部が沈んでしまう。中村さんはウキの目盛りが投入するたびに違った。2人とも仕掛けをにらんで黙ってしまった。その真ん中で大関コーチは順調にヘラを釣り上げていった。一体、何が違うのか?

 大関コーチ

 それぞれに原因は明確。自分で気付くかどうかです。永瀬さんは最初に底を取るときに板オモリを巻き過ぎていた。何度やってもウキが沈んでしまう。中村さんは仕掛けの長さがほんのちょっとだけど短かった。それと2人とも大きな欠点があった。振り込みのコントロールがまちまちで仕掛けの着水のエリアが広がってしまった。

 開始から約1時間半、2人とも悪戦苦闘しながら、底取りの手順をやりなおして、サオ21尺(約6・3メートル)の仕掛けで正確な底取りができるまで調整できた。

 大関コーチ

 底取りで失敗する大きな理由はタナ取りゴム。カケアガリをコロコロ転がってしまうので、ウキ下が深くなってしまう。着底したその瞬間のポイントで決めないと正確な底取りはできません。

 少しずつ沖に下っていくカケアガリのイメージもつかめた2人は、振り込むエリアを狭くして、ようやくスタート地点に立てた。

 振り込みのコントロールは集めたヘラブナをどう落ち着かせるか、ということにも直結する。仕掛けの着水する場所が一定であれば、ヘラブナが散らずに大関コーチのように連発して釣れる。この日は大関コーチが95匹、永瀬さんが51匹、中村さんは38匹の釣果を残した。どれも30センチ前後だったが、野ベラの野性味あふれる引きを堪能できた。

 永瀬さんは「底取りの手順を省略してしまうと、逆に修正するのに時間がかかってしまう。基本は大事ですね」と話すと、中村さんは「1日でこんなに釣ったのは初めて。振り込みはもっと練習して、正確性を極めたい」と話した。

 初日の釣行修業の夜に関川師範代が合流。この日の反省会で永瀬さんから「きれいにウキが沈むのではなく、モゾモゾしているのもアタリなんでしょうか?」との質問にこう答えた。

 関川師範代

 相当数のヘラブナが集まっていたんだろう。食わせエサのグルテンは水を含むと膨張するので、水中ではフワフワしてしまい、ヘラブナが食い上げて、それがウキのモゾモゾにつながることがある。両ダンゴに切り替えてもいいね。

 翌日は小雨で風向きがコロコロと変化する状況だったが、2人は的確に底取りもできた。ボートを岸にしっかり固定してすぐにサオを弓なりに曲げていた。3時間で関川師範代、大関コーチが50匹台、永瀬さんが30匹台、中村さんは道糸が風でこんがらがるトラブルもあって10匹余りだった。

 次回は、5月下旬、西湖(山梨)の長ザオでのダイナミックな宙釣りに挑みます。