日刊スポーツ野球評論家の「大魔神」こと佐々木主浩(かずひろ)氏(56)と、サンスポ代表の元ニッポン放送松本秀夫アナウンサー(62)の釣り対決2024年度初戦が、静岡県沼津市にある久料「魚磯丸」(久保田清船長=79)で行われた。


乗っ込みシーズンにさしかかった駿河湾のマダイがターゲットだ。開始1投目から本命確保の「先制弾」をお見舞いした大魔神は、そのまま1・8キロを頭に4匹をゲット。対する松本アナはイサキ1匹とパーフェクトこそ免れたが、見事な完封負けだった。今回はその前編です。

マダイをゲットした大魔神の横で仕掛けを手に祝福する松本アナ
マダイをゲットした大魔神の横で仕掛けを手に祝福する松本アナ

■静岡・久料「「魚磯丸」」

大魔神のサオが海面に突き刺さった。「来た!」。午前5時30分の投入開始直後だった。右舷ミヨシ(最前方)で、ロッドキーパーからサオを外して大きくアオる。しっかり針がかりした証拠に、弓なりにしなった。


慎重にやりとりしながら、結婚式の引き出物のような「尾頭付き」を確保した。見事な先頭打者初球本塁打だ。しかも、たて続けに同じようなサイズを連釣する。いきなり「タイ魔神」の本領を発揮した。

開始1投目から大魔神のサオがしなる
開始1投目から大魔神のサオがしなる

「船長の指示したタナ(魚の遊泳層)から10メートルほどコマセカゴを落とし、コマセを振り出したら10メートルほど巻いて待ちました」。コマセの巻き方も工夫した。カゴの下側は2メートルほど開けただけにして、オキアミコマセが潮の流れに任せて1匹、また1匹、ポロポロと出て行くようにした。


久保田船長が見る魚群探知機には、水深50~55メートルにかけてマダイの反応がビッシリと出ている。「水深50メートル。指示ダナから下へ、コマセカゴを下げないで」とアナウンスする。


連発弾が呼び水になったのか、左舷ミヨシ2人目の南本聡さん(50=神奈川県平塚市)からトモ(最後方)の塩田達也さん(33=静岡県河津町)まで4人のサオが相次いで絞り込まれる。開始からわずか1時間足らず。1998年(平10)、抑えの切り札として大魔神が活躍した横浜ベイスターズが西武ライオンズを下した時の「マシンガン打線」よろしく、チャンスタイムは続いた。


「朝イチは釣れる確率が高いから、その時に何が何でも釣らなきゃ」と話す大魔神の右横で、松本アナは出遅れていた。エサに迷っていた。今回の釣行の1週間ほど前、相模湾で3キロ弱のメダイを2匹上げている。付けエサは、オキアミの1匹掛けにイカの短冊を抱き合わせていた。縁起を担いで今回も数流し採用したが、かじられもしなかったためにオキアミ1匹掛けにした。出遅れが響き、時合を逃した。

オキアミとイカの短冊を抱き合わせるという松本アナの秘策は不発
オキアミとイカの短冊を抱き合わせるという松本アナの秘策は不発

しかも、出船前に松本アナが「乗っ込みマダイの重量勝負。数は釣るから」と、大魔神を挑発する。「数はね」と言い返すと、「かずひろさんという名前だから、かずは釣るということですよ」と、どこかの政治家を思わせる苦しい答弁になる。これが、大魔神の闘志に火をつけ、「タイ魔神」へと変身させてしまった。


この後、アタリはパタッと止まる。それでも釣れる人はマダイを釣った。大魔神は言った。「釣れるには理由(ワケ)があるんだよ」。※後編は5月11日

【赤塚辰浩】


■久里浜はピーク 乗っ込み 情報

3月は「春の嵐」が吹き荒れ、南岸低気圧が通過するなど、大荒れだったが、4月になりコマセでマダイを狙う各地の船からは、乗っ込みの情報が寄せられている。千葉・外房は小湊「鯛丸」、東京湾の金沢八景「太田屋」、南伊豆・手石「米丸」、駿河湾・興津「大和丸」などはようやく始まった。神奈川・久里浜「大正丸」は今がピークという。1~2キロの食べごろサイズが主力で、中には3キロを超える型物も出る。鯛丸はマルイカとどちらかの希望出船、太田屋はタイラバと交互出船になるので、要注意。


また、神奈川・新安浦「長谷川丸」はタイラバで狙う。使うタイラバは、80グラムか100グラムの2パターン。潮の速さや水深により、使い分ける。茨城・鹿島「第三幸栄丸」や千葉・飯岡「梅花丸」はテンヤになる。


▼船宿「魚磯丸」【電話】055・942・3230。マダイ午前便は集合午前4時30分、沖上がり午前10時30分。料金はコマセ・エサ・氷付きで1万500円。午後便集合午後0時30分、沖上がり午後6時30分。料金同9500円。5月26日まで「マダイダービー」を開催中。料金のほかに別途1000円の参加費が必要。3匹合計の重量で審査。詳細は要電話確認。