東京湾シーバス、絶好調だぜ! 冬のソルト・ルアーの定番、シーバス(フッコ&スズキ)が今、70センチ超のスズキも顔をみせている。2月に入ってからやや低調だった。どうやら、バチ抜けが相当遅れてやってきたようだ。ん? バチ抜け、って何だ? どうしてルアーは反応しなくなっちゃうの? まさに今起こっている東京湾の底のオハナシです。今後、シーバスはどうなるのか…そこをリポートします。
10日、東京湾は晴れ。風は北西でやや強めだ。白い三角波が立ってはいたが、荒れた感じではない。強い風が波間に当たって、ちょうどよく、海の中をもんでくれる。海が、目いっぱい酸素を「吸い込める」チャンスを得たようなものだ。魚の活性が上がりそうな気配が漂っている。
川崎「つり幸」から出漁した。今や東京湾におけるルアー・フィッシングの代名詞ともなっているシーバス。すしネタでも人気の白身、スズキの横文字ネームになる。ただし、スズキは出世魚で、大きさによって名前が変化する。40センチ未満の小さいサイズはセイゴ。60センチに届かないミドル級はフッコ。そして60センチ以上になって初めてスズキを名乗れるのだ。
今、そのスズキくんが釣れている。
もうちょい寄り道に付き合ってもらいたい。今年1月に入って、いきなりシーバスは爆釣モードに入っていた。順調に見えたが、2月に入ってアタリすらない。東京湾の名船長らが首をかしげていた。
「だって、魚探(魚群探知機)にはしっかりシーバスの反応が出ていて、これで釣れないわけがない」
そんな声ばかりだ。
海には海の掟(おきて)や季節の定番がある。特に東京湾の12月には「バチ抜け」があって、ルアーでは勝負できないころ合いがある。ゴカイなどのひも状の生きものが産卵期になり、海底近くで大量発生するのだ。当然、魚は大喜びで荒食いに走る。シーバスもルアーよりも食べてうまいゴカイにくらいつく。どうやらそのバチ抜けが12月ではなく、2カ月ずれてしまったようなのだ。
2月初旬にルアーに反応しなかったのには、そんな理由が込められていた、と思われる。
そして、今に戻る。
バチ抜けが終盤に入っていると仮定しよう。
どうなるはずなのか?
ゴカイなどをバクバク食っていたシーバスは当然、大きくなっているはずだ。10日午前便では、東京湾に出る前の首都高湾岸線の陸側でシーバスの影が魚探で動いた。80グラム前後のメタルジグを投入すると、底付近でアタリが連発した。サイズは50センチ前後。悪くない。着底後、ややゆっくりめの変化をつけないタダ巻きできた。シーバスの釣れた写真を撮ろうとしてリールをすばやく巻き上げると、タコボウズ記者にもヒット。底だけはなく宙でも食う。シーバスはレンジ(層)に関係なく泳ぎ回っているとみられる。チャンスだ。
マルキユーのインストラクター、佐須智明さんがロッドを逆U字に曲げている。海面まで浮かんできた。デカい。タモ網ですくって測量すると…78センチ。立派なスズキだ。「底からちょっと上げて、再び落としたところで食いついてきた。ただね、いるレンジが一定していない。安定してくるのはこれからですね」と解説した。
この日はピンク系のルアーが有効的だった。佐須さんに続いて、70センチ超のキャッチが続出した。レンジはバラバラだが、サイズは50センチ超ばかりだ。今後、海面から底まで散っているシーバスがまとまってくるだろう。シーバスがルアーに再び興味を持つ「早春の本番」はもうすぐそこまできている。【寺沢卓】
▼船 川崎「つり幸」【電話】044・266・3189。ルアーシーバスの乗り合い船は、午前6時30分と午後0時30分の2便。料金は氷付きで6500円。要予約。釣り道具だけではなく、カッパや長靴もレンタルしてますよぉ~。