大魔神、駿河湾マダイダービー参戦! 会期前に御前崎「博栄丸」で“キャンプ”をして「感触はつかめた」と胸を張る佐々木主浩さん(49=日刊スポーツ評論家)が3月30日、久料「魚磯丸」(久保田清代表)から出漁した。同地では、すでに4~5キロ台の大きなマダイも釣り上げられており、チャンスはありそう。約8年ぶりに魚磯丸を訪れたタレント野々村真(52)との珍道中やいかに!

 付き合いが長くて、仲が良いからこそ言える文句だった。大魔神が「コイツ、本当に人の迷惑ばかりかける。ここぞ、というときに必ずオマツリしてくるんスよ」と目をむいて怒る。

 柳に風。野々村はひょうひょうとして「何をそんなにいきり立ってるの。釣れるマダイも釣れないよ」。想像以上に器が大きいのか、それとも感度がユルユルなのか。

 出船前のおなじみの光景。そんな掛け合いのコントのような会話の次には、ニコニコと談笑している。釣りを楽しむ大人の余裕が漂ってくる。西伊豆・久料「魚磯丸」のマダイ船。波は静か、日差しもポカポカ、絶好のコンディションだ。

 野々村には特別な日だった。清代表の手作りのサオをこの日、初めて使った。ラッキーカラーが緑という野々村専用のグリーンのサオが完成し、店内の壁に掲げられていた。野々村は、仕事の都合で訪問が遅れ、ようやく手にできた。サオができあがって8年の歳月が流れていた。

 常連からは「この野々村さんのサオはさ、展示品なの? オレ、買おうか?」とも言われる始末。野々村は「このサオでマダイを釣る。魂を入れるぞ」と意気込んでいた。午前中、その思いは空回りをして、サバしか釣れなかった。

 大魔神からは「ずいぶんと豪華なサバザオだね」と冷やかされた。すでに大魔神は船中1発目となる920グラムを釣り上げ「哀川翔さんが勝山で3匹釣って1930グラムでしょ? そこは超えていかないとね」と気持ちを午後便に集中させた。

 内房・勝山「宝生丸」で“アニキ”こと哀川が6日前の3月24日、「Tokyo Bayマダイダービー」に挑んだ。終始アタリを導く釣りで3匹をそろえて、計1・93キロの記録を残した。大魔神はそこにこだわっていた。出船したのは「駿河湾マダイダービー」を開催する魚磯丸なので、直接対決することはないが、「1・93」は意識していた。

 魚磯丸の真骨頂は午後便にある。日没直前のいわゆる「夕まづめ」に当たる時間帯に、大きな魚が出ているのだ。12年前、魚磯丸では午後便で11キロの宿記録を出している。その釣り人は大魔神だった。

 午後3時すぎ、反応が出てきた。ハリスは4号10メートル、ハリはマダイバリの9~10号。常連さんは12号の大きなハリを結んでいる人もいた。狙うタナは海面から20~35メートル。浅い。清代表の実弟・靖船長は「このポイントは4キロ超の実績がスゴい。チャンスだよね、チャンス」と笑顔を見せた。

 空が赤く染まり始めたころ、野々村のサオ先が鋭く振動してギュン、と引き込まれた。サオの柔らかさでハリを食い込ませて、巻いた。ギギギ…。リールのドラグがうなる。大物か? 巻き上げてタモ網で取り込んだ。「良かった。サバザオとは呼ばせないぞ」と野々村。1・64キロだった。

 ただ、よーく見ると、ハリを2本飲み込んでいた。ハリスをたどっていくと、大魔神に到達した。

 「チャレンジ、行くか! これ疑惑だろ、疑惑」と大魔神がはやしたてた。靖船長の判定は「サオを最初から曲げていたのは野々村だったな。野々村の魚とする」。ここでタイムアップ。

 ダービー参加初日は、大魔神も野々村も1匹ずつだった。アニキには及ばなかったが「どうやら少しずつ落ちていくエサに反応するみたい。また、来る。翔さんを抜かないとね。野々村さん、良かったね」と大魔神。次回以降の対策ができているようだ。

 ◆駿河湾マダイダービー 3月11日~5月14日、マダイだけの期間限定大会。3匹の重量で競い、期間内であれば何度でも挑戦可能。1匹からの入れ替えができる。最初に参加料(1000円)を納めれば、どの宿からでも出漁できる。参加賞は日刊スポーツのロゴ入りの特製ギョサン。

 大会は今年で5年目。3年連続で魚磯丸が優勝者を出したが、昨年は新加入した博栄丸からチャンピオンが出ている。今回は、巻き返しを狙う魚磯丸勢が序盤をリード。鶴見祐也さんが3月12日に4・36キロ、同27日には富山聡さんが5・18キロを釣り上げた。

 今月1日、戸田「たか丸」に乗船した大川敏之さんが4・96キロを筆頭に3匹合計で8・34キロを記録し、トップに立った。たか丸の野田孝代表は「まだ潮温は12~13度。低いなあ。これが16度になってくれば好機だ」と分析した。参加している船宿は、他に大井川港「海政丸」、安良里「ふじなみ丸」の計5地区。

 現在、東京湾でも「Tokyo Bayマダイダービー」を開催中。富浦「共栄丸」、勝山「宝生丸」、金沢八景「太田屋」、久里浜「大正丸」の4地区が熱戦を続けている。