◇1972年ミュンヘン大会男子バレーボール準決勝(9月8日・バレーボールハレ)

 ブルガリア相手に2セットを失い、第3セットも4―7。日本のピンチを救ったのは、2人のベテランだった。31歳の南将之と30歳の中村祐造が途中出場し、思い切りのいいプレーでチームを鼓舞。流れを引き寄せると、森田淳悟、大古誠司、横田忠義の「ビッグスリー」も勢いに乗って「奇跡の逆転」につなげた。続く決勝もベテラン勢の活躍で東ドイツに快勝。五輪史上、日本の男子団体球技唯一の金メダルを獲得した。

 「1人時間差」「Bクイック」「天井サーブ」…。派手な攻撃ばかりが注目されたが、本当は守備のチーム。2メートル近い大男が、フライングレシーブで拾いまくった。「攻撃は、守備では原稿にならないというマスコミ用。チームの本質は世界一のレシーブにあった」。松平康隆監督は生前、そう話していた。

(2014年12月03日東京本社版掲載)