<J1:浦和2-0神戸>◇第15節◇27日◇駒場

 浦和FW高原直泰(30)が、復活のゴールでチームを上位戦線に踏みとどまらせた。昨季ナビスコ杯を含む計4度の対戦で1分け3敗と勝てなかった神戸をホームに迎えた一戦。高原は精力的に動いて得点機を演出し、前半42分には相手DF3人の守備網を切り裂く左足シュートで今季リーグ戦初得点をマーク。2-0完封勝利の原動力となり、リーグ戦5試合ぶりの白星をもたらした。

 本能の赴くままに、ただ1点、ゴールだけを狙った。先制点を奪ってもなお、試合の主導権を握りきれずにいた前半42分。高原はペナルティーエリア付近で足元にパスを受けると、迷わなかった。相手DF3人の寄せより速く、左足を振り抜く。かつて、日本代表で同僚だった神戸DF宮本の股間(こかん)を抜ける一撃をゴール右隅へ突き刺すと、手にしたかった結果をかみしめるように、しばらくボールを指さした。

 3日磐田戦、13日大宮戦のナビスコ杯予選リーグ2戦連発の勢いそのままに決めた、今季リーグ戦初ゴール。高原は「これまで試合に出ていなかったけれど、最近は試合に出て得点に絡めるようになった」と手応えを感じた。若手の台頭もあり、4月4日大分戦から公式戦10試合連続でベンチスタート。フランクフルト時代のゴールシーンをDVDで検証し、当時の生活を振り返って魚中心の食生活にも変えた。常に他クラブの補強リストに載り、海外移籍もうわさになるが「僕はまだ、レッズで結果を残せていない」という思いがある。自分自身を見つめ直した取り組みが、最近6試合でフル出場の信頼を得て、3得点につながった。復調の兆しは本物となった。

 気温31度の猛暑で、30歳の体にムチ打った。前線からのプレスで守備面で貢献し、後半19分には味方のクリアボールにいち早く駆けだしてボールをキープ。原口へ決定的なスルーパスを通した。「ファンにも、自分たちはやれることを証明する重要な試合だった」。前節横浜戦ではチーム全体の運動量が低下して完封負け。連敗すれば優勝戦線から脱落し、体力の消耗が激しい夏本番を前にパスサッカーへの自信を失いかねなかった。勝負どころを心得たプレーが、前節浴びたサポーターからのブーイングを拍手と声援に変えた。

 大黒柱の復活とともに手にした、リーグ戦5試合ぶりの勝利。浦和が王座奪回への岐路で、再加速した。【山下健二郎】